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麻雀神話

投稿日:2003.8.18
  作:kuipeiko
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星座にギリシャ神話があるように麻雀の手役たちにも神話があることをご存知ですか?
今回はその中でも一番ミステリアスな「緑一色」、「大車輪」、「百万石」の三兄弟にまつわるお話です。

昔々、・・どのくらい昔かと言うとまだ三兄弟が「役満」と呼ばれる以前のこと・・。

三兄弟の長男・車輪と、次男・万石の二人は日頃から仲が悪く三男の緑はいつも肩身の狭い思いをして過ごしていました。
ある日、車輪は緑にこう言いました。
車輪:「万石の奴はおちつきがねぇ。あんなでたらめな奴のいうことなんざ聞いちゃあいけねぇ。わかったな?!!」

ある日、万石は緑にこう言いました。
万石:「車輪は喰えない奴だ。あんな奴のいうことなんざ聞いちゃあいけねぇ。わかったな?!!」

緑は兄たちを心の底から尊敬していて、三人で仲良くできたらといつも願っていました。 しかし普段からこんな状態なのでなかなか話す機会などありません。

緑は意を決して兄たちを呼び説得しました。
緑:「車輪兄さん、万石兄さん、そろそろいがみ合うのは止めて三人で仲良く暮らしませんか?」
すると普段からピリピリしていた二人は逆上し、緑にあたりました。
車輪:「なにぃ、てめぇ俺様に意見するのか!俺は誰とも仲良くなんかしねぇわかったか!」
万石:「俺だってそうだ。大体てめぇ、たかだかホンイツの癖に生意気なんだよ!

尊敬する二人にこんな風に思われていたなんて・・
緑は大変ショックを受け、その夜真っ暗な山の中へふらふらと出て行きました。
緑:「あぁ、神様・・私はどうしたらよいのでしょうか?・・・」
すると雲の間から満月の光が射し込み緑の足元を照らし出しました。
緑:「こ、これは・・。」

夜が明け、朝の光の眩しさを感じながら緑は家に戻りました。
すると兄たちは駆け寄りこう言いました。
万石:「緑どこ行ってたんだ。心配したんだぞ?昨日は酷いことを言ってすまなかった・・。」
車輪:「あの後も二人で話し合ってたんだ。思えば緑には迷惑をかけっぱなしだった。これからは三人で協力していこう。・・緑?何かあったのか?」

二人は緑の雰囲気が変わったのを不思議に思いました。 たしかに緑は凡人とは思えない神々しさを纏っていたのです。
当の本人はそんなことには全く気付かずに泣いて喜びました。
緑:「車輪兄さん、万石兄さん、ありがとう。そうだ、さっき山の中でこんなの見つけてきたんだ。あんまり奇麗だからもって帰ってきたんだ。みてよ。」
そう言って車輪に渡しました。 それは一輪の蘭の花でした。

緑:「満月の光に照らされながらゆっくりと咲いたんだ。神様が願いをきいてくれたんだね。」
緑がこう言うと車輪は蘭の花を見つめながら言いました。
車輪:「緑、おまえ・・まさか役満になったのか?」
緑と万石はこの言葉にビックリしましたが、あわてて万石が答えました。
万石:「まさか!だいたい緑はたかだかホンイツ・・おっと、へへ、まだまだ青二才だよ。役満になんかなれないだろう。」
車輪:「いや、緑のこの輝き・・間違いない。万石よ、お前も分かっているはずだ。俺達は間違っていたのかもしれない・・・。」

緑は半信半疑で、万石はにわかには受け入れがたい感じで車輪の話を聞いていました。
車輪:「緑よ、万石と俺は昔から役満に憧れていたんだ。役満になりたくてお互いに切磋琢磨して努力してきた。ところが努力すればするほど役満の存在が遠いことが分かってくる。そのうち二人ともその苛々をお互いにぶつけるようになり、いつのまにかこの有り様だった。」
緑:「兄さん達が努力してたのは知ってるよ。役満だって全然遠くないじゃない。おれなんか・・・。」
車輪:「緑はただのホンイツじゃない。この蘭、真っ暗な山の中で月の光に照らされながら咲いているのをみつけたんだってな。まさに伝説どうりじゃないか。」

万石ははっとして、
万石:「海底摸月、嶺上開花!?まさか!ただの伝説だろう。だいたい海底と嶺上は別 の話で同時に起きるなんて・・」
車輪:「まさに奇跡だな。海底摸月、嶺上開花、そして夏の季花・蘭、これらはそれぞれ己の力を増幅する力を持っているという・・。」
万石:「それじゃあなにか?役満になるには運だけで俺達がこれまでやってきたことはすべて無駄 だっていうのか?そんな理不尽なことあるか!」
万石は込み上げてくるものを抑えながらもショックを隠せずにいました。

車輪:「そのとおりだ。そんな理不尽な話はない。役満になるには努力が必要だ。が、同時に運も必要だということだ。」
万石:「それなら緑はどうなんだ。あいつは運だけなんじゃないのか。」

緑は何も言えず、複雑な気持ちでただ、二人の会話を聞いていました。
車輪:「だから俺達は間違っていたんだ。たしかに俺達は最初、役満目指して頑張っていた。だが最近はどうだ?」
万石:「もちろん役満目指して努力していたさ。」
車輪:「本当か?今になって気付いたんだが少なくとも俺はお前に負けないように努力していた気がするんだが。」
万石:「・・・。」
車輪:「やっぱりお前もか。努力の方向性が変わって、周りも全然見えてないなら役満なんかなれるわけないよな。万石知ってるか?緑が俺達以上に努力していたことを。」
万石:「!?い、いや・・俺は俺自身のことでいっぱいいっぱいだったから・・。緑、そんなに努力していたのか?」

緑は少し申し訳なさそうに言いました。
緑:「ああ、本当だよ?兄さん達には仲良くしてほしかった。でもおれなんかが言ってもだめだと思ったんだ。でも役満になれれば、と思って・・・。」
万石:「でも昨日は役満じゃなかったと思うぞ?」
万石の言葉に車輪が答えました。
車輪:「虎穴に入らずんば虎児を得ずってやつだな。守りに入っちまってる奴が役満になんてなれるわけがない。

緑はいろんな気持ちでいっぱいになり、なんて言ったらいいか分かりませんでした。
緑:「車輪兄さん、おれは・・・。」
車輪:「役満になったら言おうと思ってたんだろ?堂々と言えばいい。」
緑:「・・ありがとう。車輪兄さん、万石兄さん、これからもよろしくね。」

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