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倉科遼を読む- 連載 - 破天荒 】の記事
  • 7月
  • 31
  • 2007
17:35

第41話 仲間(とも)よ

「ナイト東京」で少しずつ指名客を掴んでいった武。
新しい話題を常に仕入れ、客の好みやその時の姿なども逐一メモしていきダンスも上達していった。
しかし、まだまだ関根などの上位のホストには追いついていない。

行き詰まりを感じる武の元に「ナイト宮益」の譲二たちが訪ねてきた。
酒とつまみを持参して部屋で酒を飲むことになった武たち。
譲二は武の部屋に積み重ねられた新聞やノートを見てその大変さを感じ取る。
他のホストに近況を聞かれた武は正直に今の状況を話す。
大きな派閥があるのかと聞かれて小さなグループがいくつもあるだけだと応えた武。
それに反応した譲二は「ひとりでやってるなら上位に食い込めなくて当たり前なんじゃねえのか?」と意見を述べる。
確かに関根も「グループスタイルに慣れろ」と言っていた。関根たちに追いつこうとして周りが見えなくなっていた自分に気づいた武は、これからどうすればよいのかがわかったようだ。

それから武は他のホストを観察して共に戦う仲間を探し始めた。
ふと目に付いた席では浩二というホストが客を笑わせて楽しませていた。
武は考える「自分にないウリを持っている人を集めれば良いんだ!」
その日の営業終了後、早速武は浩二に声をかけた。自分より売り上げがあるホストから頭を下げられた浩二は彼と一緒にやっていくことを決めた。
それからも武は自分とは違う個性の仲間を集めた。
筋骨隆々な肉体がウリの堅作、
物知りなインテリ系の明、
気配りが得意な真一。
皆、売り上げランクは最低だったが一芸だけは持っていた。

この五人で武は最大の賭に出る。

  • 7月
  • 12
  • 2007
23:21

第39話 エリート集団

「ナイト東京」に移籍してきた武。ホストクラブの最高峰と言われるその店には、俳優も真っ青なほどの二枚目ホストが200人近く在籍していた。
この店での最初の客は武をひいきにしている常連客の幸代だった。
幸代は周りのホストの姿を見て、「ナイト宮益」でも、「ロイヤル」でもナンバーワンだった武の移籍にまったく動揺していない彼らをプロだと評価する。
そこに、朱美が客として入ってきた。初日と言うことでヘルプを頼めるホストがいない武は誰に照る符を頼もうかと困惑していた。
そこに、一人のホストがやってきて自分が付こうと申し出てきた。彼の名前は関根士朗と言った。
朱美の席で誕生日プレゼントをもらう武。その時ホールに出てきた関根と幸代の姿に他の客やホストが注目し始めた。
その理由は、関根のダンスのテクニックだった。よく見ると他のホストも自分以上にすばらしいダンスをしている。

それからも武の客のヘルプは関根が手配したホストたちがついた。
幸代は関根の力量を認めていた。どれをとっても今までで一番だ。武の指名を変えるつもりはないけれど、この店でやっていくにはこれまで以上の努力と才能が必要になってくるだろうと感想を述べる。
営業終了後。ヘルプのお礼をする武。「勉強になりました。これからもよろしくお願いします」と頭を下げてその場を去ろうとする武を関根が呼び止めて「この店で上を目指すなら仲間を集めろ。この店には大きな派閥はない。4、5人のグループが切磋琢磨し合うこの店独自のスタイルになれるとキミものびることができる。」とアドバイスする。

初日に訪れた武の客は10組を軽く超えた。それでもこの店では注目すらされなかった。
関根という新しいライバルにも出会った。
こうして相澤武の集大成とも言うべき戦いの幕が切って落とされた。

  • 7月
  • 12
  • 2007
21:47

第38話 転機

独立したい思いをミノルに見抜かれた武。ミノルは独立を強く進めた。
しかしそれは、今すぐという意味ではなく今は独立を念頭に何事も考えていけというアドバイスだった。
独立はしたいが具体的なことは何も考えていなかった武に道が見えたようだ。

それから武は自分の店のイメージをふくらませていった。
最初は小箱から初めて徐々に大きくしていくのがいい。
バンドを入れるのは場所も経費もかかるからナシにしよう。
しかしそれではダンスができなくなってしまう。それなら食事がメインのサパークラブにするのはどうか。

武の結論は「小さな店舗にホスト数名を雇い、サパークラブをオープンさせる」ことだった。
早速朱美にそのことを相談する武。しかし、武の話をじっと聞いていた朱美は静かに口を開いた。
「今できるものを、できる範囲でまとめた・・・そんな感じがするの。」
本当はどんな店が作りたいか、どんな店が勝ち抜いていけるのか。そういう大切な部分が抜けているように見える。
そんな朱美の意見は武にショックを与えた。目先のことにとらわれて大事な志が抜けていたことを反省したのだ。

さらに朱美は独立の前にホストクラブの最高峰「ナイト東京」に行ってみてはどうかとすすめる。
どんなものでも良いと言われるものには良いと言われるだけの理由がある。そしてその理由こそが精巧につながっている。

朱美は朱美なりに武の夢について自分で考えて勉強していたのだ。
武は朱美のアドバイスに礼を言い、さっそくナイト東京への移籍を決意する。

  • 7月
  • 7
  • 2007
17:00

第37話 新宿二丁目

その日は武の30回目の誕生日だった。
店は武の客で満席になり、全てのホストが武のヘルプとして飛び回っていた。
朱美も店に来ていた。二人は交際を始めたが、武は朱美の子供のことを考えて、子供が成人するまで一緒になるのは待つことにしていた。

そこに一人の男が入ってきた。
男性が一人でホストクラブに来るのは珍しいことだ。しかし武は、他のお客と同じように話を進めることにする。
男の名前はミノルと言った。ミノルは永井から武のことを聞いて知っていた。
会話を続ける武の姿をじっと見つめたミノルは、ボーイに武を指名にしてボトルを入れるように頼む。
自分の姿を見ても他の客と同じように接する武の姿にミノルは好感を覚えたのだ。

ミノルは新宿二丁目で「BARミノル」という飲み屋を営むゲイボーイだった。
そしてその街で「二丁目の顔役」と呼ばれる存在だったのだ。
武は指名のお礼をかねて朱美とともに「BARミノル」に行くことにした。

店の中では男同士がべたべたとくっつき合っていた。さすがの武もこれには驚いたが、ミノルの顔を見ると朱美のことを恋人だと紹介して席に着いた。
武はまず瓶ビールを何本か頼んで他の客に酌をして回った。
「この店のことも、この街のルールもわからないけど、たまに遊びに来ますんでよろしくお願いします。」
見ず知らずの人にも自ら進んでその懐に入ろうとする姿を見てミノルはさらに武を認める。

それから親睦を深めた二人。半年後には武が一人でミノルの元を尋ねることも多くなっていた。
その日ミノルは武になぜホストをやっているかと聞いた。借金を返し終わった現在、何のために働くのか。
言葉を濁す武だが、ミノルには武の考えがわかっていた。
「武ちゃん、アンタ独立しなさい!」

武に決断の時が迫る。

  • 6月
  • 24
  • 2007
04:34

第36話 告白

朱美と出会って三ヶ月が過ぎた。朱美は月二回のペースで武に会いに来ていた。
ある日武は朱美を食事に誘った。家庭がある朱美を誘うのは気が引けたがもっと朱美に会いたいという思いが強かったのだ。
楽しそうに話す二人を厳しい目で見つめている女性。朱美は彼女に見覚えがあったが思い出せないでいた。

約束の日。武はセンスの良いレストランに朱美を招待した。
飲み物のメニューをもらった武はメニューに書いていることが理解できずに「頼んであるコース料理に合わせてくれ」と言ってごまかす。
しかし朱美には武が無理をしていることがばれていた。朱美はそんな武をかわいいと思っていた。
食事をしながら武は自分の昔の話などをして朱美を楽しませた。朱美は夫にも見せたことのない笑顔を見せていることに気づいていた。

それから三ヶ月後。朱美の家に帰ってきた娘のマリがクラスの鈴木君に「マリちゃんのお母さんは夜遊びしているから遊んじゃだめ」と言われたと泣きだした。
店でこちらを見ていた女性は鈴木の母だった。
自分のわがままのせいで娘まで辛い思いをさせてしまった。自分を誤魔化しきれなくなった朱美は夫に全てを話した。
ホストクラブに通い出したのはあなたが家庭を顧みないからだと言われた夫は逆上して黙って俺の言うことを聞いていればいいと朱美を怒鳴りつける。
出世するためには離婚はできない。お前も支店長の妻という立場を考えろと言われた朱美。
こんな時でも出世のことしか話さない夫に失望した朱美は泣きながら外に飛び出してしまう。

夜の明治通りを歩く朱美を見つけたのは武だった。一部始終を聞いた武は自分のせいだと朱美に謝る。
これ以上夫とはやっていけないと悲しむ朱美の顔を見た武は思わず「俺の恋人になってくれ」と告白してしまう。
朱美も武に惹かれていた。しかし、娘たちにこれ以上辛い思いをさせるわけにはいかない。

武は自分が好きな人が自分を好きでいてくれただけで十分だと言い、
「10年でも20年でも待つ、その間の朱美さんの辛さは俺も背負うよ」と朱美を抱きしめた。

  • 6月
  • 17
  • 2007
05:37

第35話 遠い女性(ひと)

岡田朱美との出会いから数週間がたった。
クリスマスイブの夜、相変わらず武の客でナイト宮益は賑わっていた。
同じ時刻、岡田家では小さい子供たちを寝かしつけた朱美が夫からの電話を受けていた。
急なトラブルで帰れなくなったとだけ言って電話を切る夫。一人寂しく子供たちのプレゼントを枕元に置いたとき、友人の紀子から電話が入った。
パーティの帰りにホストクラブに行きたいから付き合って欲しいという紀子。最初は乗り気ではなかったが、他の人をつけるからと言われて、その強引さに負けてしまう。

店に入ってきた朱美を見た武は客に断って席を離れる。ボーイに朱美の指名はあるかと尋ね、指名はないと聞いた武はすかさず朱美の席に着く。
ボーイに他の人をつけるように頼み忘れた紀子は違う人に変えてもらおうかと聞くが、さえない武にはきっと全然客がいないだろうと思った朱美は申し訳ないからとそのまま武と話すことにする。
持ち前のサービス精神で会話を盛り上げた武は、ダンスを踊らないかと朱美を誘う。
夫以外の男性と手をつなぐのは久しぶりだった朱美は思わずほほを赤らめてしまう。
ダンスの最中も武はしゃべり続けた。そしてようやく朱美が少しだけ笑ってくれた。

少し心を開いた朱美は夫が家庭を顧みないことを相談する。
朱美が結婚していて子供もいることにショックを覚える武。さらに朱美の夫は銀行の支店長を務めるエリート、父親は世界的に有名な建築家であり、現在は光和大学の理事長を務める河島哲郎だと言うことを知る。

あなたはあなたらしくあればいいと朱美を励ます武。
閉店時間も迫りレジに近づいた朱美はホストの売り上げグラフを見て驚く。
身長も自分と変わらず、取り立ててハンサムなわけではない武がナンバーワンだと言うことに気づいたのだ。
その驚きが武への興味に変わる朱美。一方武は生まれも育ちも自分とは全く違う朱美に絶望しながらも自分の気持ちを抑えきれないでいた。

  • 6月
  • 9
  • 2007
02:20

第34話 運命の糸

ナイト宮益に移って3ヶ月。店に二人連れの女性がやってきた。
豪華な出で立ちの女性はボーイにチップを渡し、良い方を付けてくれと頼む。
これを見て上客だと考えたボーイは武をつけることにした。
二人の方を見た武は連れのおとなしめの女性を見て何かを感じた。
場慣れしていそうな女性ではなくて、その女性の隣に武は着くことにする。

岡田朱美と名乗るその女性は、笑顔で話しかける武の横で気乗りしない表情だった。
しかし武は彼女が店を出るときも「また会いたい」と言うなどいつもとわずかに違う態度を見せていた。

帰りのタクシーで、友人に感想を聞かれた朱美は「隣に座った男性がちょっと苦手だった。イメージしていた怪しさや魅力もなくて田舎のお兄ちゃんって感じだった」と答える。
一方、閉店後に譲二につっこまれた武は、朱美を一目見た瞬間に電気が走ったと告白する。
「人妻殺しの武ちゃん」と呼ばれる武が一目惚れするとはと大笑いする譲二たち。
ホストをやっている限りはもう誰も好きにならないと決めた武だが、どうしても朱美の姿が頭に浮かんでしまう。

夜。朱美は帰ってきた夫を迎えていた。
彼女は銀行の支店長の妻で、子供も二人いる人妻だった。

(ひとこと)おおっと、ついに朱美夫人登場です!!

  • 6月
  • 3
  • 2007
17:00

第33話 ウワサの男

昭和44年秋、武は「ナイト宮益」に移籍してきた。
ミーティングで挨拶する武だが、他のホストたちの視線は厳しい物だった。
永井は惰性に流され自尊心しか残っていない彼らの目を覚まして欲しいと武に期待する。

そして店は開店した。なじみ客の幸代を始め、武の客が次々に訪れてきた。
人手の足りない武は「ロイヤル」の頃と同じように待機席のホストたちに頭を下げてヘルプを頼んでいった。
瞬く間に客席の半分以上が武の客で埋め尽くされた。
ホストたちは楽しそうに働く武の姿を見て店ができたばかりの頃の自分を思い出していた。
いつしか彼らのプライドという壁は溶けていってしまった。
閉店後、助けてくれた彼らに礼を言う武。お礼に食事に誘う武だが、ホストたちは歓迎会だからといって金は自分たちが出すと言い出す。
彼らの心を掴んだ武は二週間後に譲二たち仲間五人を呼び寄せ、さらに二週間後残りの仲間を呼び寄せた。

こうして一ヶ月後には盤石な「武体制」が整ったのだ。

  • 6月
  • 3
  • 2007
16:17

第32話 新天地

武が恋人と別れてから3ヶ月が過ぎた。店ではボーイ長の永井が店を去っていた。
ある日、武の自宅で仲間たちと酒を飲んでいたとき、話題が永井のことになった。
永井は武にすら理由を告げずに辞めていた。店側には話を通しているらしい。
永井がいなくなった分自分たちががんばろうと考える武たち。
そして話題は最近できたホストクラブ「ナイト宮益」のことになっていた。
今年渋谷にできたホストクラブだが、「ロイヤル」と同じぐらいの規模で結構繁盛しているらしい。

そんな中、仲間の一人信二というホストが浮かない顔をしていた。武は今日付いていた客のことで信二を励ますが、翌日信二は店に出てこなかった。場代が払えずに店をクビになったのだ。
毎週場代を払い、固定給は指名料だけ。売り上げからの歩合も10%弱。ボーイは店に雇われている立場なので給料制である。
自分だったら違う仕組みにするのに・・・このころから武はホストクラブの経営について考えるようになった。

それから数ヶ月。武の部屋に永井が訪ねてきた。永井は「ナイト宮益」で店長を務めていた。
しかし、店の売り上げはこのあたりが頭打ちになると懸念した永井は武に「ナイト宮益」に来て欲しいと頼みに来たのだ。
支度金まで用意してキミに賭けたいと言ってくれた永井の気持ちに応えるべく武は移転を承知した。

一週間後、武は「ナイト宮益」に移った。29歳のことだった。

  • 5月
  • 26
  • 2007
15:28

第31話 男の涙、女の涙

智也との売り上げ対決から3ヶ月が過ぎた。武はロイヤルのトップホストとして忙しい毎日を送っていた。
そのころの武は、借金に追われていた頃に助けてくれた真美という女の部屋に住んでいた。
借金も返し終わり余裕の出てきた武は、真美にもっと広い部屋に引っ越そうと提案する。

新しい生活のために今日も早くから同伴に行く武。そんな武を真美は複雑な表情で見つめていた。
引っ越しまで一週間となったある日、真美は日曜日に買い物に行きたいと武に言う。しかし、その日は上客の幸代の引っ越しの手伝いに行くことになっていた。
自分とお客さんとどっちが大切なのか?と詰め寄る真美。
仕事が忙しくなればなるほど自分を見てくれないことに我慢ができなくなっていたのだ。

結局真美は武の元を去っていってしまった。一人で新宿の部屋に引っ越した武。
新しい部屋は独りで住むにはあまりにも広すぎた。

  • 5月
  • 14
  • 2007
15:56

第30話 美酒の結末

武と智也の売り上げ対決から一週間が過ぎた。
勢いづく智也は〆の日を待つことなく今週中に決着をつけるつもりでいた。
武のヘルプである譲二はそんな状況を心配して金を持っている幸代にもっとボトルを入れるように頼んではどうかと武に相談するが、武は
「お客さんに無理にボトルを入れてもらうようなことはしない。勝負の前に仕事。お客さんを楽しませることに全力を尽くしましょう。」と譲二の提案をはねのける。

閉店まであと二時間。武派の客はほとんど読んでしまった。これで決定的な差がついたと笑う智也。
そこに一人の客が入ってきた。
客は武の客の佳代だった。この客もたいした金を落とす客ではない。そう考えた智也だが今日の佳代は一人ではなかった。
先日佳代の買い物につきあった武は今日は友達の誕生会だったんじゃないかと尋ねる。
その帰りに寄ったという佳代はなんと15人もの女性を連れてきたのだ。
武が選んだブローチは裕子と言う女性に送られていた。裕子は武に礼を言い、一番高い酒とフルーツとおつまみを人数分注文する。
尻込みする武に佳代が言う。「大丈夫よ武さん。裕子さんは熊徳建設の社長夫人なんだから。」

この日裕子が使った金は「ロイヤル」が始まって以来の額をたたき出した。
武の売り上げは智也を追い越していた。
それを見た智也派のホストがヘルプに付かせてほしいと頼みにきた。それを見たほかのホストも次々に武の席に移り出す。
客と正面から向き合い損得など考えずに尽くすことに喜びを感じる武だからこそ起きた奇跡だった。

翌週、武派は勢いを増し、智也派は精彩を欠いてしまった。
売り上げ勝負は武が1位になって決着が付いた。
勝利した武は智也の元に行き、言うことを聞いてもらうことにする。
なんと、これからもこの店で先輩としてがんばってほしいと頭を下げたのだ。
しかし、プライドの高い智也はそれを受け入れず、店を去った。

こうしてホスト相澤武の最初の戦いは幕を閉じた。

  • 5月
  • 8
  • 2007
02:40

第29話 暗闘の宴

その日ロイヤルには20組以上智也の客が来ていた。しかし武の客も数は少ないながらフルーツや新しいボトルを頼み売り上げを伸ばしていた。
二人のホストとしての考えは対照的だった。
智也はヘルプを使いつつも最後は己の力のみを信じていた。客を意のままにできる自分の魅力を最大に生かし、独占欲をくすぐっていた。
武は人との付き合いを大事にしていた。それは客のみでなくヘルプについているホストたちにも向けられていた。そうしてできたつながりで彼が席にいないときも売り上げを伸ばそうとボトルを入れ、ヘルプたちも積極的に仕事をすることができていた。

久美子という客とホテルに泊まった智也は彼女を抱きながら明日からはヘルプのホストたちにも酒を飲ませてほしいと頼む。翌日、たくさんのホストに囲まれて酒を飲む久美子。これから今まで以上に金を落とさせる智也の作戦だった。
閉店後、福島の報告では智也のほうが売り上げが勝っていた。しかし、今日の智也を見ていた武は客に無理をさせて食いつぶすような仕事はしないと言い出す。
同じく報告を聞いていた智也と派閥のホストたち。勢いづく彼らは序盤戦の最終日に向けて気合を入れていた。

  • 4月
  • 21
  • 2007
16:03

第28話 売り上げ勝負

武と智也の売り上げ勝負が始まった。先月の売り上げで智也は2位、武は10位に入った。
入店4ヶ月でトップ10に入った武を面白く思わない智也。
この勝負で武を店から追い出す気満々である。

この勝負の噂はあっという間に広がった。周囲の評価では智也が圧倒的に有利。
智也の客達も高い酒をどんどん入れていく。
武の客である幸代はそんな状況を見て考え込んでいた。席に着いた武にレミーマルタンを入れるように言う幸代。いつも高い酒を入れようとするとそれを止める武だが、智代は「この勝負はアンタの進退が懸かってんだろ?だったこれは客の問題でもあるんだよ。それに止められるのって結構寂しいもんだよ」と武に話し、酒を入れる。
それを聞いた智也の客は負けじとボトルを追加する。さらにそれをうけてボトルを入れたのは武の他の客だった。ひとりひとりとの関係を大事にしてきた武を客は応援しようとする。
しかし、智也の客は智也が隣に着かないと酒は入れないと言い出す。

武の力を知った智也はこの勝負、武を潰すことに全力を注ぐことにする。

  • 4月
  • 16
  • 2007
14:43

第27話 弱肉強食

智也は歌舞伎町を歩きながら考えてた。
「俺は進んで夜の世界に来た。そして百人以上のホストがいるロイヤルで五指にはいるまでとなった。オレは選ばれた存在だ。だからこそ相澤武が許せない。必ず俺の前から消してやる!」

同じ頃、武は今日ヘルプに付いてくれたホストと居酒屋に来ていた。
智也との関係を心配する譲二の心配をよそに笑顔で酒をつぐ武。譲二はこの武の前向きな態度に好感を持つ。

それからも武は派閥に関係なく開いているホストにヘルプを頼んだ。いつしか10人近いホストが武のヘルプに入っていた。
智也派のホストはそれをおもしろく思わず、智也もそろそろ武つぶしに動くことを考える。

ヘルプに付いているホスト達は武が派閥を作ることを望んでいた。
そこに武が入ってきて今日もヘルプに付いてくれるように頼んでいるとそこに智也が入ってきた。
智也はヘルプのホスト達を落ちこぼれと挑発する。それに怒った武はついに自分の派を立ち上げて売り上げで勝負することを宣言する。
智也が負けたら武の言うとおりにする。武が負けたらホストの世界から消えてもらう。
二人の全面対決の火ぶたが切って落とされた。

  • 4月
  • 10
  • 2007
19:05

第26話 灯が燃える

ホストになって三ヶ月。武は少しずつ指名を獲得していった。
たまに指名が重なるときもあり、そんなときは先輩ホストの譲二にお願いしていた。
それでも武の売り上げは智也には遠く及ばなかった。しかし、智也派のホストですら「相沢は力をつけている。ひょっとするとひょっとするかもしれない」と噂するようになっていた。

武の武器は「話術」だった。背も低く、容姿もさほどよくない武は、話術で女性を盛り上げて気をひきつけていたのだ。
その甲斐あって客の中には高い酒を入れる人も出てきた。
ある日指名がかぶってしまった武。いつもお願いしている譲二はすでにほかの席についてもらっている。
武はナンバーワンホスト直樹の派閥のホスト二人に助けてくれるようにお願いする。
今回だけでいいからと頭を下げる武。普通はヘルプにつくほうが頭を下げるものなのに。
結局二人はヘルプにつくことにする。武は自分の指名料から二人のバックが出るように店に頼むことにした。
客席につけないつらさは自分も身をもって知っていた。だからこそ身銭を切って彼らに報いようとしたのだ。

閉店後、譲二とさっきの二人に礼を言う武。お礼に食事をおごると言う武を智也が呼び止めた。
「ほかの派閥の人間をヘルプにつけるとはどういうことだ。派閥を作っている人間に対する侮辱か!」
そう問い詰める智也。そこに当の直樹が入ってきた。
ここは俺の顔を立てて収めて欲しいと言う直樹に言い返すこともできずに去っていく智也。
直哉は武が力をつけてきた今、智也との衝突は避けられないことを感じ取っていた。

  • 3月
  • 29
  • 2007
18:18

第25話 指名客

「ロイヤル」に入店して一ヶ月。武は昼は営業マン時代の主婦客、夜は新宿で道行く女性に声をかけまくっていた。
その甲斐あって数組の指名を獲得することが出来た。しかし、指名客は全て主婦で、定期的に通わせることは難しく、売り上げも微々たるものだった。
相変わらず敵意をあらわにする智也だったが、武は女を楽しませることに集中していた。

ある日武はボーイの福島を閉店後に飲みに誘った。
武は福島に金を渡し、智也の次で良いから席に着けて欲しいと頼んだ。
この金は武が自由に使える金の全て。全ては明日につなぐためだった。

店に金を持っていそうな客がやってきた。しかし彼女は智也が席についても不機嫌そうな態度で全く相手にしなかった。
次の指名客に呼ばれた智也は不満を漏らしながら席を立った。そこに武へのアナウンスが入る。
さっきの席に武を着かせた福島に智也は文句を言いに行くが、状況が変わったと冷たい態度を取られてしまう。
武は幸代という女性に積極的に話しかける。武の気の利いたセリフに気をよくした幸代は武を指名することにする。
女は自分に興味を持つのが当たり前、こちらから気を遣うようなことはしないという智也とは正反対の武が客の心をつかんだのである。

  • 3月
  • 22
  • 2007
04:02

第24話 生き残りの日々

智也との対決を誓った武はまず路上キャッチを始めた。
今では当たり前になっているキャッチだが、この時代にはその考えがなかった。
武が智也に勝つために考え出した苦肉の策だったのだ。

しかし、ホストクラブのイメージが今より悪かった時代。声をかけた女性は軽蔑するような目つきで去っていくばかりであった。
智也にも見下され、客もつかず。それでも武は出勤前の数時間をキャッチに費やしていた。

それから数日後。セールスマン時代の客である加藤夫人に声をかけられる。
自分がホストをやっていることを告げ、名刺を渡す武。
しかし、家庭を持つ加藤夫人の立場を考えずに自分のことばかり言ってしまったことに後悔の念を抱く。
その日も、定位置となった待機席で智也のイヤミを聞く武。
そこに指名の客が入る。加藤夫人が同じく武の客だった主婦仲間を連れて来てくれたのだ。
さらに、路上で声をかけた女性も武を指名。先輩ホストにヘルプをお願いして女性の元へ行く武。

これからが本当のスタートだ。

  • 3月
  • 22
  • 2007
03:12

第23話 夜の戦場

武が「ロイヤル」に入店してから1週間がたった。
いまだ仕事が出来ない武は女性に貢いでもらった金で場代を払い、店に出る。
今日もボーイ達は智也の命令で武を席に着かせない。
しかしボーイ長の永井が手を回し、ついに席に着くことが出来た。
永井が武の味方をしたことで焦る智也派のホスト達だが、智也はこの助けは今回限りだと読む。

翌日、意気込んで店に出た武に智也が命令する。
「今日は俺ん家で電話番をしてくれ。どうせお前に客なんか取れやしねえんだ。だったら俺の役に立て」
その瞬間武は智也のヘルプを当てにしていた自分に気付く。
「せっかくの話ですが電話番は遠慮します。俺は自分の力でお客様をつかんで見せますから」

事実上の宣戦布告。ホスト相澤武の最初の戦いが始まる。

  • 3月
  • 1
  • 2007
22:57

第21話 派閥

武のホスト初日。ボーイ長の永井から仕事についての説明を受ける。
ホスト達は店に場代として2000円を店に納める。報酬は指名を取ったら1時間5000円、ヘルプで500円。
指名やヘルプに入らなかった場合は何ももらえない。
何が何でも生き残りたい武は源氏名を「相澤武」としてホールに入った。

することもなく待機している武に話しかけたのはトップホストの智也だった。智也はこんどからオレのヘルプに付けてやると言って席に戻っていった。
それを見ていた譲二というホストが智也とその派閥について教えてくれた。
指名の少ないホストは誰の下に付くかで命運が決まる。しかし彼は「人に使われるのが嫌いだ」と言ってどの派閥にも入っていなかった。

新しいことに目を丸くするばかりの武だが、まずは仕事がしたい。
しかしその日は誰からも声をかけられず、何もすることなく一日を終えた。

  • 2月
  • 22
  • 2007
00:22

第20話 夢走曲

女性専用のダンスホールが形を変えホストクラブ化していった1960年代。
武がホストクラブの門を叩いたのはそんな時代だった。

歌舞伎町のホストクラブ「ロイヤル」の扉を開けた武は貴族の社交場のようにきらびやかなフロアに驚く。
そこにボーイ長の永井という男がやってきて何か用かと武に話しかける。
ホストになりたいという武にダンスは踊れるのかと聞く永井。
ホストクラブはダンスホールから生まれた場所。ダンスが踊れるのは最低条件だと武を門前払いしようとする。

話を聞いた武は「踊れるようになってからもう一度来ます」と宣言して店を出た。
たいていの男は条件を提示すると消極的になり去っていく。しかし武はむしろ積極的な態度を示した。永井は武が再びこの店に現れることを確信した。

ダンスレッスンを開始した武は毎日朝の9時から夜の10時まで練習をして2ヶ月でレッスンを修了した。
「約束通り踊れるようになったんで来ました!」

永井は店長に話を通し、みんなが見る前でお客様とダンスを踊らされることになった。
相手の女性を見つめ、ワルツを希望していると見抜いた武は見事な踊りで周りの人を驚かせる。
相手の女性ももう一曲踊りたいと店長に申し出る。

こうして「ロイヤル」に採用が決まった武。「ホスト王」の第一歩である。

  • 2月
  • 14
  • 2007
22:25

第19話 夢ふたたび

武が再起をかけて興した「クリンヘア」は新潟から駆けつけた仲間たちのおかげでピンチを切り抜け順調に拡大していった。
ある日仕入先を紹介してくれた先輩の野口が武を訪ねてきた。
これからももっといい会社にしていくと語る武の熱い目を見て何かを思う野口。
初めて会った日にもあの目に魅力と可能性を感じていた野口はこれからもがんばれとエールを送る。

しかし、会社が安定すると武の「スケベ王」の部分が目を覚ました。再び高級クラブに通い詰め、女を抱く毎日。またもや売り上げの低迷に対応できなかった武。ついにクリンヘアは倒産してしまった。
一度ならず二度も女におぼれて会社をつぶした武は社員たちにきつく責められた。同級生たちも去っていった。
社員たちに給料を払うためにマチ金に手を出した武はその借金に負われる羽目になってしまった。

付き合っていたホステスの部屋に隠れるように住んでいた武を野口が尋ねてくる。
野口は武に新しい仕事を紹介した。最近マダムの間で流行っている「ホストクラブ」だ。
「お前に普通の仕事は出来ねえ!お前には好きな女に尽くして喜ばせて金が貰えるホストしかねえ」

武の目に再び輝きが戻った。これが武とホストとの出会いであった。

  • 2月
  • 8
  • 2007
19:54

第18話 復活の日

「日本ベル」の倒産から三ヶ月。武は昼は工事現場、夜は警備員として働いていた。
そこへ故郷新潟の友人、小野と出会う。自分の近況を話す武。そして借金を返し終わったら新しく会社を興したいと話す。小野のほうもスーパーで新規店舗の開拓を任されていた。30歳で新潟に帰って実家の八百屋をついでスーパーをやるためにしっかり勉強しておきたいと語る小野。
二人はこれからもがんばり続けることを誓い合う。

そして、1967年4月。武はカツラの会社「有限会社クリンヘア」を興した。以前同様主婦のネットワークを利用して売り上げを伸ばす武。しかし「女におぼれて会社を倒産させた男」といううわさが災いして社員を確保することができなくなっていた。
行き詰った武の元に新潟時代の友人が現れた。小野に話を聞いた彼らは武に自分たちを雇ってほしいと頭を下げる。
その後「クリンヘア」は瞬く間に30人を従える会社へと急成長を遂げた。

  • 2月
  • 1
  • 2007
18:54

第17話 山あり谷あり

主婦を相手に「実演販売」で売り上げを上げていった武は26歳になったのを機に自らの会社「日本ベル」を立ち上げた。
わずか3人での出発だったがこれまでの顧客相手に売り上げを伸ばし会社はどんどん大きくなっていった。

このころの武は高級クラブに行くことが唯一の楽しみだった。社員たちもかわるがわるに連れて行き派手に飲み、騒いでいた。
光子と別れてからは特定の女性とは付き合わず次々にホステスたちを口説いていく武。

しかし一年後「日本ベル」は業績が悪化し倒産の憂き目を見た。

  • 1月
  • 27
  • 2007
06:03

第16話 いばらの道

光子と別れ、仕事に復帰した武。バーテンダーに戻るという選択肢もあったが、サラリーマンから逃げ出すように感じられベッドの営業を続けていた。

今日もまた成果を上げることができず部屋に寝転がる武。
「営業トークなんて喋ることができない。女をくどくトークなら得意なんだけどな」
そのとき、武はすばらしいアイデアを思いつく。
相手を『お客』ではなく『女』と思って口説くつもりで話してみよう。

翌日。ナンパの要領で話を聞いてもらうことに成功した武。
相手に合わせた会話で相手をのせ、その家に何度も訪問することになった。
そして一ヶ月後、ベットの話が弾んだ主婦は夜の生活に不満を漏らす。
ここがくどきどころと考えた武は「実演販売」という名の体を張った営業で契約を結ぶことに成功する。
その後、この客からの口コミで武の実演販売つきベッドは売り上げを伸ばしていった。

  • 1月
  • 23
  • 2007
04:20

第15話 亀裂

仕事がうまくいかず家で暴れた武は足をケガして入院していた。
それとともに光子との関係もぎくしゃくしたものになり、しだいに見舞いにも来ないようになってしまった。

そして7月1日。武は一人で二十歳の誕生日を迎えた。
いてもたってもいられなかった武は病院を抜け出しアパートに向かった。
そのころ、光子の兄が武を見舞いに行き、脱走したことを知る。

アパートに帰った武は光子が他の男と寝ているところを目撃する。
逆上してナイフを振り回す武。間一髪で兄が武を引き留めた。
事情を察知した兄は光子を問いつめる。光子は一緒にいると辛い。他の人といると不安を忘れることができるのだと武に話す。

武はこれまで自分が裏切った女性の気持ちを初めて知ることになる。

  • 1月
  • 16
  • 2007
02:26

第14話 悪戦苦闘

水商売を辞めた武は寝具の会社でサラリーマンを始めた。
訪問販売で町中を駆け回るが、成績が上がらず苦戦を強いられていた。
一方、光子はバーのウエイトレスとして夜に働いていた。自分のバーを持ちたいという武の夢のために勉強したいとこの仕事を選んだのだ。

精一杯努力したがまるで成績が上がらない武は、慰める光子に辛く当たってしまう。
そんな自分に腹を立て暴れる武。自らを傷つけ、それでも道は見つからず焦りがつのっていく。

  • 12月
  • 28
  • 2006
22:41

第13話 夢と現実

光子と二人、立川で暮らし始めた武。三畳一間の狭いアパートだが二人でいるだけで幸せな毎日だった。
しかしそこへ、突然男が訪ねた来た。光子の様子がおかしい。
光子の昔の男だと思った武はドアを開け、毅然とした態度を取る。
しかし、男は光子の兄だった。親に黙って引っ越した光子の様子を見に来たのだ。

家族に挨拶もなしに光子と暮らし始めたことを武はわびた。しかし、武がバーテンであることを聞いた兄は水商売の男に娘を渡せないと激怒する。
家に帰らせようとする兄に反抗する光子。武はなんとか一緒に暮らせるようにお願いするが、認めてくれない。

「そいつと一生にいたいなら上村の家を出ろ」と言う兄に武は「ならばバーテンを辞める。今の俺には光子と一緒にいることの方が大事だ」と土下座をして頼み込む。

兄は武を認めてくれた。武はバーを持つという夢と引き替えに光子を選んだ。しかし…

  • 12月
  • 23
  • 2006
16:19

第12話 大人の女

里子と光子、二人の女の間を行き来する武。
夜、店からキャバレーに出勤する里子を見送ると光子の部屋へ向かう。そして翌朝、光子を見送ってから里子の部屋に帰る毎日だ。

もっと光子と一緒にいたい。しかし里子の気持ちを裏切れない。どうすればいいかわからぬまま、関係は続く。

ある日武は里子に料理を作って帰りを待っていた。そこで、自分の気持ちを正直に話そうとしたのだ。
しかし、里子は彼の言葉を遮る。
わたしと別れたいって言うんだろ。気付いていた。引き際ぐらいはきれいにしたいと。

武は里子の部屋を出て行った。彼女は「大人の女」だった。
そして店をやめた武は光子と二人で浦和の街を離れた。

  • 12月
  • 23
  • 2006
16:17

「はてんこう」週刊アサヒ芸能連載。
毎週木曜日発売。
原作:倉科遼 作画:河島慶 企画:フリーハンド

「愛グループ」社長愛田武氏の半生記を書いた「ホスト王」(実業之日本社)の漫画化。