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倉科遼を読む- 連載 - 帝王 】の記事
  • 8月
  • 5
  • 2007
21:27

第33話 関心

ジュエル再開から半年、店は軌道に乗っていた。
大家の大崎は遅れることなく家賃を払い、火事で背負った借金も月々きちんと返済している翔に興味を覚えて彼の行動を見てみることにした。
スーパーへ買い物に行く翔。そこへホスト時代の客が声をかけてきた。彼女たちは翔がキャバクラを経営していて、開店してすぐに火事を出したことも知っていた。それでもなお、がんばる翔を応援してやるという彼女たち。大崎は翔が彼女たちとよい関係を気づいていたことを感じる。
その後も街を歩く翔にいろんな人々が声をかける。そして彼は「ジュエル」に向かうことにした。

突然現れた大崎にあわてる翔。今日は客としてきたとだけ告げて大崎は席に着いた。
キャバクラのシステムを知らない大崎は翔から指名の説明を受ける。女の子の成績は指名、場内、同伴とポイント制になっていることを知る。
そのころ、待機席のキャストたちは大崎のことについて噂をしていた。火事のときに野次馬がいる前で翔を罵倒した大崎。偏屈で奥さんにも逃げられた大崎の席に着くことを誰もが嫌がった。
大崎とうまく会話ができるキャストを探す翔だが、彼女たちも目をあわそうとしない。
どうするか悩む翔に一人のキャストが声をかける。「社長!私をつけてくれませんか?」
店の生殺与奪の券を握る大崎。奈々というそのキャストの接客しだいでは最悪の事態も起こりかねないが・・・

  • 8月
  • 5
  • 2007
21:13

第32話 油断

相場より高い時給を出してキャストを集め、高い酒やフルーツの注文をノルマとした「シャングリラ」は売り上げを伸ばしていった。
この二週間、連日満員で一部では竹ノ塚一のキャバクラだという評判も流れている。
こちらも何か手を打ったほうがいいんじゃないかという小川だが、翔は「ウチ自体の売り上げが落ちているわけではない。それならそれでいいじゃないか」と言う。
「一週間や二週間で結果が出るなんてことはない。これからが本当の勝負だよ。」

そんな翔の言葉どおり、その後「シャングリラ」の客足はぴたりと止まった。
キャストの一人がオーナーの前で堂々とその理由を話す。
竹ノ塚にしては料金が高い。それに店長や黒服の態度が横柄で感じが悪い。元の店に戻ったら指名するけど、この店にはもう来ないと言っていた。
ほかのキャストたちも同じことを言われたと言う。今週いっぱいで辞めさせて欲しいという彼女たちを何とか引き止めたオーナー。
更衣室では今までの不満をぶちまけたことでキャストたちはすっきりしていた。
そんなとき、ここが始めての店だという二人組が彼女たちに話しかける。
店を辞めるときに一緒に連れて行ってもいいけど、ロリ系の店のほうが似合うんじゃない?と茶化すキャストたち。ほんの冗談のつもりだったが、二人の表情が少し曇った。

「シャングリラ」の勢いが止まったとこを聞いた翔。やはりその店自体に魅力がないと客は常連になってくれないと話し合っていたところにひとりのキャストが飛び込んできた。
「今、店の外にパトカーが・・・」

警察は「シャングリラ」に入っていった。あの二人組は家出した14歳の少女だったのだ。
14歳の少女を使っていたということでシャングリラは営業停止三ヶ月。事実上の閉店だった。
あっけない幕切れ。その原因は店がキャストの管理を行ったことだった。

今回の事件で翔たちは多くのことを学んだ。キャストの身元確認にしてもあたりまえのことでついおろそかにしてしまいがちだ。
そして接客業はきちんとした接客マナーをつけなければならないということ。
遅刻をしない、身だしなみをちゃんとする、店内はきれいに保つ。
これ以降、翔はこの三点を「KIZAKIのA・B・C」として徹底させることにしていった。

  • 7月
  • 19
  • 2007
22:30

第31話 哲学

ライバル店「シャングリラ」と「ジュエル」のタイマン勝負のうわさは客達にも届いていた。
双方がかわいい女の子を入れてサービスを強化して、結局どっちも評判になったりして・・・客は冗談で言っていたが、翔はまさにそのとおりになって欲しいと願っていた。

店からの帰り道、屋台のラーメン屋に寄った翔と小川。話題は自然とシャングリラのことになっていた。
小川の目にもシャングリラの教育はなっていないと写っていた。
ごみは外に出しっぱなし。キャストの接客にしても入ってきた五人は言葉遣い、タバコの火のつけ方、水割りの作り方など随分いい加減だった。
彼女達も一つ一つ教えたらちゃんとできるようになった。すべては彼女達のせいではなく店側の責任なのだ。
一店舗のマナーの悪さは業界全体の評価を落とすことになる。翔はシャングリラがそのことに気づいてくれればいいと思っていた。

シャングリラではキャストたちにオーナーが檄を飛ばしていた。売り上げを上げろ。同伴は毎日しろという彼にキャストたちは辟易していた。
ジュエルとの対決の話はここでも伝わっており、彼女達は一ヶ月様子を見てやりにくかったら辞めればいいと話し合う。

スタート時はビジュアルでレベルが高く、ほかの店で成績を上げていたキャストを引き抜いたことでシャングリラのほうが多く客を集めた。
こうしてサバイバル戦争の火蓋は切って落とされた。

  • 7月
  • 19
  • 2007
22:16

第30話 白黒

ライバル店「シャングリラ」の娘五人が「ジュエル」に移りたいといってやってきた!
その中の一人、桜という子はジュエルの若菜という子と友達でジュエルの良さを聞いて働きたいと思ったそうだ。
彼女達を雇うとシャングリラと揉めることは目に見えている。しかし彼女達は繁盛していないシャングリラよりもジュエルで働きたい、チャンスが多い店で働きたいという。
さらに、五人はすでにシャングリラを辞めてきたという。雇ってもらえないならほかの店に行くだけだという五人。
スカウトしてもなかなかキャストが集まらない今、女の子のほうからやってきたとなれば断る理由はなかった。

結局翔は彼女達を雇うことにした。そしてその話はシャングリラ側にも伝わっていた。
ミーティングで彼女達を紹介している最中にシャングリラのオーナーが乱入してきた。
引き抜きだという彼らをこれは本人達の意思だと突っぱねる翔。
キャストたちも自分達の意思だといい、シャングリラよりジュエルのほうがいいからお願いして入ったと説明した。
しかし収まりのつかないシャングリラ側。そこで翔はお互いキャバクラなのだから店同士の勝負にしようと提案する。
同じビルにキャバクラが二件。こじれた関係で後に引けなくなっている。
それならばどちらが生き残るか潰れるまでやるしかないじゃないか。
この喧嘩を買ったシャングリラ側は早速質の良いキャストをかき集めようと動き出した。

ムキになってタイマンを張るようなやり方は自分らしくない。しかし店を守るのは俺の責任だ。
決死のガチンコ勝負が始まった。

  • 6月
  • 23
  • 2007
21:01

第27話 再会

火事から2週間後、「ジュエル」はキャバクラ専門の店として再開した。
今までの常連客で店は満席になった。三千万の借金のことを考えるとつらいが、むしろ借金完済という目標ができてやりがいが出てきたと前向きに考える翔。

しかし「ジュエル」にはもうひとつ問題が残っていた。例のヤクザの件である。
心配する小川に翔はそれでも”みかじめ”は払わないと言い切る。
その日はヤクザは来なかった。しかし、黒服になった達也たちはきっと何かたくらんでいると不安を隠せなかった。

翌日。街を歩いていた翔は例のヤクザを見つけた。彼の行く手をさえぎる翔。
店を再会したのに来なかったという翔にヤクザはもうてめぇの店には行かないという。
実はあの火事の後、みかじめに関するトラブルが警察に知られてしまい、放火の疑いがあると見て調べが入ったのだ。
結局、火事は従業員の不始末が原因で彼らの疑いも晴れたが、みかじめの件できつく釘を指されてしまった。
たかがキャバクラ一軒のみかじめのために組全体の存亡にかかわるようなことになってはいけない。
「二度とその面見せんな」と捨て台詞を残してヤクザは去っていった。

意外な形ではあったが、ヤクザを締め出すことに成功した翔。
後年「夜の世界の仕事をしながら、その筋との付き合いが一切無い会社」という評価を得る翔のやり方はここから始まったのである。

  • 6月
  • 23
  • 2007
20:47

第26話 信用

もういちど店舗を貸してほしいという翔。家主の大崎は保証人の鶴寿司の大将に何故そこまで肩入れするのかたずねる。
「一度信じた以上最後まで信じてやらないと俺に人を見る目がなかったことになる。コイツは必ずその期待に答えてくれると信じてます。」
大崎は大将がそこまで信用しているのならと店を貸すことをOKする。
大崎宅を出た翔はあらためて大将に頭を下げ、仲間が待っている店に向かう。

「ジュエル」再開の知らせを聞いた従業員たちだが、浮かない顔をしていた。
達也がブルーナイトから連れてきた三人のホストが店を辞めてしまったのだ。
翔はみんなをファミレスに連れ出して自分の考えを伝えることにした。

ホストクラブは閉めてキャバクラ一本でやろうと思う。
驚く面々に翔はその理由を話す。
ホストクラブよりもキャバクラの方が利益率が高いこと。
売り上げの高いホストは独立志向が強い。よいホストであればあるほどいつ戦力を失うかという不安が付きまとうこと。
キャバクラなら自分は経営者として全力投球ができること。
さらに将来的には店舗を増やして事業を拡大させたいという夢を語る。

翔の意見にみんなは賛成し、新生「ジュエル」はキャバクラ一本で行くことになった。
それから翔は火事で被害にあった店舗の補修などの交渉に奔走した。
幸い、業者が安くしてくれたし、周辺店の保障も早い対応と鶴寿司の大将のはからいで最小限で済ますことができた。
とはいえ、23歳にして三千万の借金を背負ってしまった翔。後は這い上がるだけだ。

  • 6月
  • 7
  • 2007
21:13

第25話 挽回

千春の励ましで火事のショックから立ち直った翔。
翌朝早く、厨房の渡辺から電話が入った。渡辺の話によると火事の原因は放火などではなくて彼の過失による失火だったのだ。
怖くなって逃げ出したと謝る渡辺に翔は「ありがとう。勇気いったでしょ、正直に話すの。電話くれただけでもうれしいです。」と元気付ける。

渡辺とともにキャストたちとファミレスに集まった翔は店を続けると宣言。
一緒に乗り越えて欲しいと頭を下げる。
そんな彼をこれからも支えていこうと誓い合うキャストたち。しかし、改装や補償の借金など問題は山積みである。
そして最大の難問がビルの大家である大崎との問題だ。大崎は弁済後に即立ち退きするように言っていた。
そのことを話し合うために翔は保証人である鶴寿司の大将の元に向かう。
火事のことについて頭を下げた翔はこれからどうするつもりなのかという大将の問いに土下座の姿勢のまま「店、続けたいんです!あの場所で、あのメンバーで、もう一度!」と叫ぶ。
その目を見た大将は自らもスーツに着替え、大崎に頼みに行くことにした。

大崎の前で頭を下げる翔の横で事情を話す大将。再契約して欲しいといわれた大崎は厳しい目で翔を見つめる。

  • 5月
  • 30
  • 2007
17:54

第24話 危機

失意の翔を千春は迎え入れてくれた。翔の近況を聞いた千春は別れてよかったと陽気に笑う。
たわいのない話で笑いあう二人。

台所にお菓子を取りに言った千春に翔は火事のことを話す。落ち込んでいく翔に千春は
「尚、今日はゆっくりしてってよ。つまり、明日は仕事がないって事でしょ」と微笑んだ。
千春の言葉に顔を上げた翔。

若い男性と写っている千春の写真を見つけた翔はそれが銀行員の彼氏だと聞いて部屋を出て行くことにする。
千春に会って弱音を吐いてスッキリしたのだ。
千春は新しい恋を見つけている。俺も心がくじけなければきっと乗り越えられる。
元気を取り戻した翔は笑顔で千春の部屋を出た。

  • 5月
  • 30
  • 2007
17:46

第23話 喪失

翔と仲間たちの店「ジュエル」が火事に。店は全焼し、同じビルの店や住人にも多大な迷惑をかけてしまった。
大家の大崎もこの不始末に激怒して現状復帰した後に退去しろと言い出す。

鎮火した店に入った翔たちは店に一番に来ているはずの厨房の渡辺の姿が見えないことに気づく。
ヤクザとのトラブルが原因だとすると渡辺の安否も気になるが、下手に事を起こして何もなかったときのことを考えてここは一旦消防の調査結果を待つことにした。

突然の事件で頭がはっきりしない翔。いつした車は西新井に向かっていた。
そこには別れた恋人、千春のマンションがあった。

  • 5月
  • 14
  • 2007
19:48

帝王 2007/5/28

カテゴリ : 倉科遼を読む- 連載 - 帝王

第22話 最悪

「ジュエル」オープンから一ヶ月。やくざの嫌がらせはまだ続いていた。
そのせいで客足は遠のき、うりあげは減っていっていた。
ヤクザに金を出せばその後もっとつけ込まれる。しかしこのままでは客が一人も入らなくなってしまう。

ボクシングジムで汗を流しながらこれからのことについて考える翔。
そんな翔の携帯にキャバクラ「シャングリラ」から電話が入る。
「シャングリラ」は「ジュエル」が入っているビルの真下にあるキャバクラだ。ホストクラブのみだったころは店長と挨拶を交わすこともあったが、ジュエルをはじめてからはライバル店ということもあり、言葉を交わすことはなくなっていた。
そんな店からの電話。何事かと思って電話を取ると突然「オイ、火事だ!」と切羽詰った声が聞こえてきた。

「ジュエル」が燃えている。火事だ。そう言われてジムを出た翔だが、他のスタッフからの連絡もないし、ちょっとしたボヤだろうと考えていた。
しかし、ビルの前に来た翔が見たものは燃え盛るビルを消防士たちが消火している姿だった。
あわてて入り口に行った翔。そこには小川が消火器を持って呆然と立ち尽くしていた。

「なにもわからねぇ、わかってるのは、店が燃えちまったってことだ!!」

  • 5月
  • 8
  • 2007
01:39

第21話 脅迫

店を訪ねてきた男は責任者に話があるといって翔を表に連れ出そうとした。
心配する小川やキャストの女性たち。しかし、大丈夫だといって翔は男についていった。

男は案の定ヤクザであった。話の内容は当然「みかじめ」の要求だ。
しかし翔はそういうたぐいのものは一切支払う気はないと突っぱねる。
怒った男は翔に水をかけ、捨て台詞を残して去っていった。

店に戻ると客はキャストたちが心配そうに翔を見ていた。暴力団とのつながりはないと宣言して安心させる翔だが、閉店後のミーティングで達也たちにこれからも何らかの形でアプローチしてくるだろうと言われて不安を覚える。
そして次の日からヤクザの嫌がらせは始まった。キャバクラに客として入り、女性たちの体を触ったりと嫌がらせを繰り替えす。
いくら追い払ってもまったく引き下がる様子を見せないやくざたち。

ついには客足も減ってきた。翔にとって社長としてはじめての試練だった。

  • 5月
  • 8
  • 2007
01:24

第20話 好事

何とかテナントの契約に成功した翔は新たな店の計画をみんなに話していた。
まずは店の名前を「ジュエル」に変えることにした。
そして、営業はキャバクラとホストクラブの二部営業で行きたいと提案する。

確かに今まで午後8時にオープンしていたが、水商売や風俗系の客が多いために12時以降しか客が入っていなかった。
そこで、ホスト時代の客に声をかけて何人かのキャストを集め、午後8時から午前1時の時間帯をキャバクラとして営業することを考えたのだ。

こうして弱冠23歳で店のオーナーになった翔はこの店ではホストではなくて店長として働くことにした。
また、キャバクラの黒服は小川が志願して翔をサポートすることになった。
そして「ジュエル」はオープンした。客席はあっという間に満席になった。翔の苦労を知っているキャストたちが同伴客を連れてきてくれたのだ。
小川も翔を「社長」と呼び、敬語で話し出した。小川なりの意気込みなのだ。

客を送り出した翔の前に一人の男が現れた。いかにもやくざという風貌の男は何者なのか?

  • 4月
  • 10
  • 2007
19:15

第19話 信頼

保証人を立てないと店は貸してもらえない。大きな問題に直面した翔は公園で一人考え込んでいた。
何人かの客は事情を聞いて保証人を申し出てくれたが、店の運営について口を出してきた。
これでは仲間たちとの自由な雰囲気を壊してしまうような気がする。しかし、保証人の問題は深刻だ。
翔は自分が何も考えずに生きてきたガキだったという思いに苛立ち一人公園で叫びだす。

そこに馴染みのすし屋の大将が声をかけていた。
彼はシャルマンのビルの近くで鶴寿司という店を営んでいる主人だった。
地元の少年野球チームの監督をしている大将は野球好きの翔を誘い、キャッチボールや少年野球のコーチを頼んだこともあった。

翔の悩みを聞いた大将は「俺だって保証人なしじゃ貸さねぇな」とつぶやく。
大将もクレインビルというビルを持つオーナーなのだ。
しかし、大将は「でも、若いうちはそういう無鉄砲さが大事なんだよ。俺が保証人になってやるよ」と言い出す。

早速大将とともに大崎を訪ねた翔。大将は大崎に
「輝咲君は好青年ですよ。野球をやっているとその人間の性格がわかる。この子は大丈夫です。」と翔を褒め称える。
地元の名士「鶴寿司」にそこまで言われては・・・と大崎は翔に店を貸すことを承諾する。

ついに店を借りることに成功した翔。
このとき、他人に信頼されると言うことがどれほど大きな財産になることかを翔は学んだ。

  • 4月
  • 10
  • 2007
18:34

第18話 障壁

翔は仲間たちと店を再開するために自分がオーナーになることを決意した。
ホスト時代の貯金は残っている。蓮との勝負で自腹を切ったように見えたが、店長の計らいでその分は払わなくてすんでいた。

早速この店のオーナーに会いにいった翔。
大崎というオーナーはシャルマンが入っている物件を貸して欲しいという翔に対して
「ワシはな・・・どうも、ホストクラブちゅうのが・・・ホストという人種が嫌いでな。」と話しはじめ、女にこびて恥ずかしくないのかと翔に問いかける。
翔はホストクラブとは女性を癒すための店。男妾のような浮ついた考えはないと答え、改めて店を貸してくれるように頭を下げる。
翔の気持ちを受け入れた大崎は賃貸料についての条件を出す。自分には貯金がある。家賃はきちんと払えるという翔の答えを聞いた大崎は
「水商売の若造のくせに金をちゃんと扱えるのか。」と感心して、店を貸すことを承諾した。

ただし、保証人を立ててもらうと大崎は言う。不動産を借りるのに保証人は不可欠だ。
社会的に認められている者、何かあったとき翔の代わりに家賃を払ってくれる人を立てなくてはならない。
親にも半ば感動されている翔に心当たりのある人物はいない。
大崎は保証人の無い人間には貸すことはできないと席を立つ。
そして、これから世の中で何かをなしたいと思うのなら、人間関係を築くことだとアドバイスを残す。

人間関係。翔の最初の試練だった。

  • 3月
  • 29
  • 2007
17:49

第17話 再起

オーナーからの突然の閉店宣言。
従業員である翔達にはなすすべもなく「シャルマン」は閉店した。
達也や修はオーナーの態度に不満を漏らしつつ出ていった。

翌日、野球やトラック運転手のように今回も何も出来なかった無力な自分にいらだっていた。
他のホスト達を誘ったのは自分だ。彼らの働く場所を見つけてやらないと行けない。
「シャルマン」の様な店を…

その時翔の脳裏にあることが閃いた。
それならば、自分がオーナーになればいい。
早速翔はみんなに電話をかけた。もう一度あの店をやろう。今度は俺たちの店として。

そして翔は開店にむけて動き始めた。

  • 3月
  • 22
  • 2007
03:55

第16話 急転

ホストクラブ「シャルマン」が回転して半年。客席は少ないが常に満席で売り上げも順調に伸びていっていた。
ホスト達のがんばりに答えるためにそろそろ給料を上げることを考える翔。
その月の最終日、オーナーに給料について相談しようとするとオーナーの方から話があるので今日の閉店後に残って欲しいと言われる。

そして閉店後、オーナーの言葉に衝撃が走る。
「シャルマンは本日をもって閉めることになりました」
この店の不動産契約が今日で解約される。実はこの一年間家賃がほとんど払えておらず契約を切られると言うのだ。

実は翔がこの店に来たいと言ったときにはオーナーの借金はすでにどうしようもない額にふくれあがっていたのだ。シャルマンのおかげで利子だけは払えるようになったが、元金と滞納した家賃を支払うまでには至らなかった。
もう彼には自己破産するしか道は残されていなかったのだ。

  • 3月
  • 17
  • 2007
19:24

第15話 一歩

11月29日、輝咲翔企画、プロデュースのホストクラブ「シャルマン」がオープンした。
ホストは翔を入れて7人、それにオーナーとその娘、恵がカウンターを担当する。

オープン日の客はほとんどが翔の顔なじみやつながりがある人間だった。
席には着かず、店長として付回しに励む翔は経験者の達也たちに助けられながらなんとか一日目の営業を終了した。
「一度やると決めたことは、どんなことでも、納得するまで、全力でやり通す。」
輝咲翔の哲学はこのときに芽生えた。

それからシャルマンは上々の繁盛ぶりを続けた。客は「ギャルソンズ」でいっぱい飲んで「シャルマン」へ流れる。翔の目論見どおりにバーも繁盛させることに成功した。

経験の少ない小川などのホストには「枝」の客をつかむチャンスを与え、間違いを犯したホストはその場で裏に呼び出して注意していった。何がいけなかったのか理解しやすいし、客に対してすぐにケアすることができるこの方法でホストたちも成長していった。

こうしてシャルマンは順風満帆に営業を続けた。

  • 3月
  • 7
  • 2007
18:35

新しいホストクラブを立ち上げることになった翔。
店の名前は「シャルマン」、開店日は11月29日に決定した。

まずはホストを集めなければならない。ノルマは7名。人材の質はそのまま店の売り上げに影響する。しかしブルーナイトから引き抜くわけには行かない。求人誌に広告を載せるのも経済的に負担がかかる。
そこで翔は自分の友人や知り合いに電話をかけることにした。

翔がホストになるきっかけとなった友人小川は翔の頼みを快く引き受け、友達に声をかけることを約束する。しかし現在の仕事をやめてまでホストになろうというものはなかなか見つからなかった。

開店まであと一週間。いまだに集まらないホスト。そこにギャルソンズの常連客である修が声をかけてきた。話を聞いた修は自分を雇ってもらえないかと翔に頼む。
さらに、ブルーナイトを辞めてきた達也たち四人のホストが働かせて欲しいとやってきた。
これで翔をいれて6人。目標の7人まであと1人。

最後に店に飛び込んできたのは小川だった。
「友達に声かけまくったけどみな断りやがったから、オレが来た!」
チビでブサイクだからホストには向かないと遠慮していた小川だが、翔のピンチを見かねて雇って欲しいと頭を下げる。

これで7人そろった。こうして「シャルマン」はなんとかスタートを切れることになったのである。

  • 2月
  • 26
  • 2007
20:03

第13話 転機

蓮に勝利し、ブルーナイトのナンバーワンになった翔。
一方でバイト先のバー「ギャルソンズ」は売り上げが伸び悩んでいた。

現在、ギャルソンズは翔目当ての女性客が主な客層になっていた。
恵は男女両方の客が拾えたら店が繁盛するのにと愚痴をこぼす。
それを聞いた翔の頭にある考えが浮かんだ。

「隣の店をホストクラブにしましょう。このバーとお客を共有させれば両方の売り上げが上がります」
オーナーである恵の父はよいアイデアだがノウハウがない。それに翔に三足の草鞋を履かせるわけにはいかないと消極的な態度を示す。
それに対して翔は「ノウハウは僕が何とかします。ブルーナイトはやめます。」と宣言。
蓮との勝負に勝ったことで新しい目標が欲しかったのだ。

新しいホストクラブを開店させるために店をやめたいと店長に告げる翔。
場所はブルーナイトのすぐ近くだと聞いた店長は少し困ったような顔で「憎んでいいはずなのに・・・ちっともそういう気にならない」と翔の退店を認める。

こうして夜の世界に飛び込んでから1年。輝咲翔は大きな転機を迎えることになった。

  • 2月
  • 21
  • 2007
23:42

第12話 雌雄

300万の差がついたまま蓮との勝負は最終日を迎えていた。
500万の自腹を切ることにしている翔だが、蓮の客がどれだけ使うかわからない状況だ。

口開けから入ってきたのは恵、茜、奈緒の三人だった。
それから次々に二人の客が入り、店はあっという間に満席になった。
夜12時を回ったが今日の売り上げは五分。300万の差は埋まらないままだった。
翔は自分の500万を使い茜たちの席にドンペリピンク3本を入れさせる。

身銭を切った翔。もう手だては残されていない。一方蓮には枕で抱いたゆかり、朝美、美穂という三人の客がまだ来ておらず、この三人の売り上げで決着がつくものと確信していた。

そして閉店30分前。ようやくゆかりが店に現れた。
ゆかりの指名は…翔だった。
「私はね、アンタのやり方に我慢ができなかったんだよ。私が翔を勝たせる。それがアンタが私にしてきたことへの答えだよ!」
その後ろから現れた朝美も美穂も蓮の接客態度に愛想が尽きたと次々に翔を指名した。
翔は一気に800万を売り上げた。

焦る蓮は他の客にボトルを入れるように強要するが、三人の啖呵を聞いた客達は
「自分たちも同じ考えだ。アンタはあまりにも女を舐めすぎたよ」
と蓮の元を離れていった。

こうして600万の差を付けて翔の勝ちが決まった。
自分が出した500万を差し引いても売り上げが上回っている。完勝だった。

そして蓮と蓮派のホスト4人は「ブルーナイト」を去っていった。この一件で翔はナンバーワンホストの座を手に入れたのである。

  • 2月
  • 14
  • 2007
20:42

第11話 劣勢

翔と蓮の売り上げ勝負は前半戦を終了して互角といったところだ。
しかし、蓮は翔の客はほとんど全員来たところで風俗や水商売の大きな金を落としてくれる客を呼んで差をつけようとする。
ほかの店でも遊んでいる女を呼ぶため「枕営業」を始める蓮。

一方翔はギャルソンズで達也や茜たちとこれからのことを話し合っていた。
達也から蓮の作戦を聞かされる翔。翔の客は普通のOLが多いため、週の前半に来た客がもう一度今週来るとは限らない。
苦境に立たされた翔は自腹を切ってでも戦うと宣言する。蓮のように女性を馬鹿にしたヤツは許せない。ずるい手かもしれないが男として人間として蓮に負けられないとみんなに話す。
その場にいた全員がこの言葉に感動して翔を応援することを誓った。

そして後半戦。予想通り翔の客数は減っていった。勝利を確信する蓮。
そして最終日を迎えた。

  • 2月
  • 7
  • 2007
15:50

第10話 決闘

蓮との勝負は翌週月曜からの一週間の売り上げで競われることになった。
蓮派のホスト達はメール攻勢で客を呼ぶ作戦に出る。そして蓮は客と直接話をして見せに来てくれるように説得する。
蓮の客、朝美は蓮と翔の因縁を聞かされ考え込む。

バー「ギャルソンズ」では、翔と達也、そして茜たちがこの勝負について話し合っていた。
蓮の客の数は翔の倍ちかくある。しかし蓮の方針は「太い客には親切に、そうでない客にはぞんざいに」である。ぞんざいに扱われていた客の感情を考えると、すべての客が蓮を積極的に応援するとは限らない。
翔に関する嘘の情報を流したことも知れ渡っている。翔と達也はこの点にかけることにする。

そして月曜日。店には蓮の客が続々とやってきた。勝ちを確信する蓮。しかし翔から奪ったはずの客がつぎつぎに自分ではなく翔を指名していく。
くやしがる蓮。しかし客の数では圧倒的に負けている翔もまだまだ有利とは言えない。

これまで客とどういうつきあい方をしてきたか。その点に自信を持つ翔は今日も接客に励む。

  • 2月
  • 1
  • 2007
18:25

「翔は恵という女と結婚する」蓮が流したうわさを消すために客の女たちに電話をかける翔。
事情を聞いた恵みとともに説得に回り、なんとか女性たちの心を取り戻すことはできた。

翔は客の一人順子に「このオトシマエはどうつけるのか」と聞かれ「蓮とのガチンコ勝負で決着をつける」と宣言する。

翔は店に入った蓮に対してガチンコ勝負を持ちかける。一週間の売り上げ勝負。負けたほうが店を去る。
男のプライドをかけた勝負が始まった。

  • 1月
  • 7
  • 2007
20:15

第8話 陰謀

ギャルソンズでウエイターとして働き出して1ヶ月。ブルーナイトでは異変が起きていた。
翔の客が一人も来ないのだ。店長との約束でバイトのことは客に内緒にしている。
不思議に思う翔だが答えは月末の締めの日に示された。

翔の客である京香が蓮と同伴してきたのだ。
蓮を問いただすものの、よそでバイトしている翔に愛想をつかした客を店長に了解を採ってつなぎとめてやっていると開き直られる。
帰り道、達也が真実を話す。蓮の取り巻きのホストたちが客に「翔にオンナができた。ギャルソンズという店の娘だ」と噂話を流していたのだ。
噂どおり楽しげに働く翔を目撃した客たちは次々に翔から離れていったのだ。

汚い手を使う蓮に怒り心頭の翔。
目には目を。歯には歯を。翔は反撃に乗り出す。

(ひとこと)今までの倉科作品と比べたら大して汚い手ではないような気がします。
マメにフォローしときなよ、翔くん。

  • 12月
  • 25
  • 2006
19:26

第7話 機会

千春との別れから5ヵ月後、翔は成績上位をキープするホストになっていた。
ある日翔を指名してきた恵という女。同じ竹ノ塚で「ギャルソンズ」というバーを経営している家の娘だという。
翔の評判を聞いてやってきた彼女は店の経営がうまくいっていないと翔に悩みを打ち明ける。
バイトがやめてから忙しくなった。新しいバイトを雇う余裕もないと。

翔は自分を雇ってほしいと申し出る。店長の了承も取り、「ギャルソンズ」のウエイターとして働くことにする。
ホストクラブと違ってバーではたくさんのお客様と接する。ウエイターとして必要な気配り、目配りがホストの仕事に役立つと楽しそうに語る翔。

そのころ、ブルーナイトの店内では翔をつぶそうという連の陰謀が動き出していた。

  • 12月
  • 18
  • 2006
17:57

第6話 惜春

夢の中に恋人の千春が出てきた。暗闇の中を走り去る千春に叫びかけたところで目が覚めた翔。
そこに、現実の千春から電話が入る。仕事を休むと連絡を入れ花やしきでのデート。
近所に住んでいるので話題は豊富にある。
そのはずだが、二人の会話は今ひとつかみ合わない。

夕方、橋の上で千春は翔を問いつめる。
3ヶ月も何もない、ホストを続けているのが耐えられないと。
しかし翔はホストはやめないと断言。泣きながら去っていく千春。
こうなることはわかっていた。しかし今ホストをやめるわけにはいかない。

店に電話を入れ予定が変わったという翔。
ホストとしての彼の人生は始まったばかりだ。

  • 12月
  • 11
  • 2006
18:25

第5話 流儀

「ソフトドリンクホスト」として人気を集めた翔は、ブルーナイトのベスト5に名を連ねるようになっていた。
彼がそれだけの指名を取れたのは、ソフトドリンクの効果だけでなく、彼なりの隠れた努力があったのだ。

ナンバーワンの蓮は店外デートをしない。一般の客には同伴とアフターだけですませ、プライベートで会うのは太い客のみなのである。
今日もOLの客に誘われるが適当な言葉でかわしていく蓮。
蓮の近くの席でこの会話を聞いていた達也たちもプライベートでの話になっていく。
達也の客、茜も今度の日曜日に達也に引っ越しを手伝って欲しいと言ってみるものの、達也はかたくなに拒否する。

引っ越しは建前で達也と一緒にいたいだけの茜、それに気付いているが距離を置こうとする達也。二人の間が気まずくなりそうなその時、翔が自分に手伝わせて欲しいと願い出る。
自分はトラックの運転手をしていたので引っ越しなら任せて欲しいと。

何故そこまでお人好しなのかと聞く達也に翔は答える。
俺は口下手だけど人と接するのが好きだ。この仕事をしているといろんな人と知り合える。
それに共感した茜の友人、奈緒は翔を指名することにした。

そして日曜日。荷物を抱える翔たちの元に達也がやってきた。
荷物を運ぶ二人のたくましい姿に茜と奈緒はあらためて惚れ直したようだ。

  • 12月
  • 4
  • 2006
22:19

第4話 命令

ブルーナイトに勤めて一週間。一通りの仕事を覚え、ジムやエステで自分を磨く翔だが、女性を楽しませる「会話」については全く自信がなかった。

そんなある日、先輩達也の席で美雪という客の接客を勤める翔に城内指名が入った。
ブランデー一気をさせた蓮の客、愛だった。
愛の毒舌を笑顔でかわす翔。今日もまたアイスペール一気を強制する愛に対して体質的に酒が飲めないためお断りさせて欲しいと言う。
その分ソフトドリンクで売り上げをあげるという翔に蓮がかみつく。

「ボトル1本分と言えばソフトドリンク何百杯分。そんなに飲めるわけがない。酒が飲めないホストなど認めない。」

しかし先ほどの客美雪が翔に助け船を出す。
「自分も酒が苦手。でもこういう店に行くとボトルを入れなければいけない。どこか変だと思っていた。でも、酒が飲めないホストならそんな心配はいらない。一緒にソフトドリンクを飲んで、フルーツをいっぱい頼んで売り上げに貢献してあげたい。」
美雪は初めての指名客になってくれた。

なおも嫌みを言い続ける蓮に翔は
「売り上げのために無理矢理高い酒を入れさせるようなホストにはなりたくない」
と啖呵を切る。

とっさに出てきた「ソフトドリンクホスト」というアイデアは酒に弱い女性にうけ、1ヶ月を過ぎるころには確固たるポジションを締めることになった。

(ひとこと)「あかんたれ」の「おまけ芸者」を思い出します。芸事が未熟な糸路は、囲碁の相手や手紙の代書などのおまけを付けて客をつかもうとするんです。
つーことで、今回は花登筐テイスト。

  • 11月
  • 28
  • 2006
22:11

第3話 新米
デビュー初日、一気のみで酔いつぶれてしまった翔は夕方まで眠っていた。
携帯の着信音で目を覚ます翔。それは初めての恋人、千春からのものだった。
ホストになるのは耐えられないという千春の電話を取らず、出勤の準備を始める翔。
親にも勘当されて前に進むしかない翔は、髪型をホスト風にしてスーツを新着した。

昨日の客に言われた文句。それは蓮の嫌がらせの一環かもしれないが女性を気持ちよくさせることと言う言葉は彼の意識を刺激した。
「これからはどんなことがあっても逃げない。言い訳はしない。それが俺の流儀だ」

そして二日目。翔の意気込みを見た店長は彼はホストとして化けるかもしれないと直感する。

  • 11月
  • 21
  • 2006
17:36

第2話 挑戦

蓮に宣戦布告した尚は、彼が勤める店、足立区の「Blue Knight」に入店することになった。
源氏名を決める際、本名でも構わないと店長に話すが、字面があまり良くないため漢字を変えて「輝咲 翔」という名前で店に出ることになる。

そしてデビューの日。蓮は客と共に翔への嫌がらせを始めることにする。
不慣れな翔になにかと文句を言う客。そして「歓迎の儀式」が始まった。
アイスペール一杯の酒を一気飲みしろと言うのだ。

酒はまるで飲めない翔。しかし蓮への意地で翔はアイスペールをからにする。
トイレの床に突っ伏したまま、翔のホスト一日目は終わった。

輝咲翔blog

  • 11月
  • 15
  • 2006
21:14

第1話 挫折

高校球児だった輝咲翔(本名:木崎尚)だが、母校が甲子園で敗退して以来不良少年としてぼんやりと毎日を過ごしていた。

ある日友人金田に紹介されてた女性、山中千春と交際することになった尚。
卒業後は電子部品メーカーに就職して野球を続けることになった。
しかし就職して半年、作業中にふと目を上げた尚は淡々と作業をこなすだけの同僚達を見て自分の将来に強い不安を感じて仕事を辞めてしまう。
野球に次いで人生二度目の挫折であった。

自分のしたいことがわからないという尚に友人の金田がトラックの仕事を紹介する。
しかし、無線で会話中に金田が事故で死んでしまう。
ショックでまたも会社を辞めてしまう尚。3度目の挫折から立ち直ることなく一ヶ月が過ぎた。

そんなある日、友人の小川彰が尚に相談を持ちかけてくる。
恋人の中村美穂がホストに奪われたと言うのだ。