- 8月
- 5
- 2007
22:12
第1話 秘密のレッスン
水曜日の午後。斉藤晴美は週に一度このプールに通っていた。泳いでいるときだけは頭の中を空っぽにしていられる。いやなことも忘れられる。夫のこと、姑のこと・・・
晴美は不妊症だった。それがわかったときから夫と姑の態度が変わっていった。
夫との関係は冷え切り、姑は嫌味を繰り返すようになっていた。
自分にも意地がある。絶対私から離婚をするものかと思っていた。
そして晴美はパートに出ることにした。家から二駅離れた街のケーキ屋さん。
店を訪れる親子連れを見ると少し心が痛むが、店長が優しく接してくれているのでつらいことなどなかった。
そして、晴美は時間が過ぎるのを待っていた。夫は不妊がわかってショックを受けているだけだと。心の傷がいえたら元のあの人に戻るかもしれないと。
プールで泳ぐ晴美に声をかけてきたのは監視員の風間だった。
クロールが泳げないと話す晴美に風間はコーチしてあげると申し出た。
まだ大学生の彼はかわいい笑顔の癖に肉体は筋骨たくましい大人のそれ。そのアンバランスさが晴美をひきつけていたのだ。
晴美にクロールの泳ぎ方を教える風間。しかし、風間が手を離した瞬間に晴美は息継ぎがうまくできずにプールに沈んでいった。
あわてて晴美を抱き上げる風間。風間の手が晴美の胸に触れる。
突然のハプニングに胸がときめく晴美。
その時、何かが始まる予感がしていた。
