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倉科遼を読む- 連載 - んなアホな!! 】の記事
  • 7月
  • 31
  • 2007
17:08

第3話 思惑

四月。渋谷のよしもと∞ホールではNSCの入学式が行われていた。
500人を超える生徒の前で演説する中井校長。竜馬と虎之助は別々の席で同じように闘志を燃やしていた。
会場を出た虎之助に大声で竜馬が話しかけてきた。
「お前とワシは運命の糸で結ばれた相方やないかぁっ」と屈託無く笑う竜馬の勢いに推されがちな虎之助。
なるべくなら関わり合いたくないと思っている虎之助だがいつの間にか彼のペースに乗せられてしまう。
街を歩きながら竜馬は言う。
「ワシらはもうコンビを決定しとる。これは他のヤツらより一歩も二歩もリードしとるってことぜよ」
バカなヤツだと思っていた竜馬の口から出た言葉に虎之助も納得する。
全てにおいて対照的な竜馬とのコンビも考えておいて良い。いざとなったら解消すればいいと考えた虎之助はとりあえず竜馬との関係をキープすることにした。

竜馬はこれからのことを話し合おうと言い、虎之助のアパートに強引に乗り込んだ。
門前仲町のアパートは築年数は古いが日当たりも良く、家賃も安い。
竜馬は一通り部屋を見渡してこう言った。
「ワシもここに住むぜよっ」

目が点になる虎之助。入学金で持ち金を使い切ってしまった竜馬は相方の虎之助に断りもなく話を進めていった。
「家賃光熱費の半分は入れる。この生活もいつかワシらの漫才のネタになる日がゼッタイ来るきに!!」
またしても竜馬の鋭い言葉に反論できない虎之助。

結局、バイトの時間の都合で部屋にいる時間帯も別だと言うことでしぶしぶ承知することになった。
強引でバカだが時に理にかなったことを言う竜馬に虎之助は興味を持ち始めていた。
一方竜馬は夜警のバイトをしながらほくそ笑む。
頭が良さそうだが所詮良い子ちゃんタイプの虎之助に目をつけた竜馬はまんまと同居を決めてやったと言い、お笑いの世界じゃ所詮男前はただの引き立て役だと笑う。
彼もまた、虎之助を本当の相方が決まるまでのキープだと考えていたのだった。

そしていよいよNSCでのレッスンが始まる。

(ひとこと)虎之助がバイトしている居酒屋の名前「笑民(わらたみ)」ですね。
きっと系列店の「SWAN」にメガネでOL風のキャバクラ嬢がいるんでしょう^^

  • 7月
  • 19
  • 2007
16:59

第2話 新宿

新宿にやってきた虎之助と竜馬。二人はルミネ新宿2に向かっていた。
虎之助はこの世界に入る手続きをすでに済ませていた。しかし竜馬はルミネに行けば芸人への道を教えてくれるだろうと行き当たりばったりな考えでいた。

案内を探す竜馬の姿を見た虎之助はこんな奴までよしもとを見に行くのかと思う。
一方竜馬は、入場を待つ女性たちの姿を見て、やはり芸人が女にもてるというのはホントだと笑いが止まらなかった。

今日の出演はタカアンドトシとオリエンタルラジオだった。彼らの演技で沸く会場。
そして終演後、竜馬は関係者を捜していた。会場を出る客に挨拶をする女性を見つけた竜馬は彼女に近寄り「プロの芸人になるには、どうすりゃええんですかの?」と質問をぶつける。
しかし、その女性はどう答えていいかわからずにうろたえるばかりだった。そこにルミネtheよしもとの支配人、西村学が偶然通りかかった。

西村は竜馬に芸人への道を説明した。
吉本興業では芸人のスカウトというのはやっていない。昔は付き人から修行してと言うケースが多かったが、最近の若手はNSC(吉本総合芸能学院)に入って一年間基礎を学ぶというのがベストの道だ。
卒業後はスタッフや作家相手に自分の芸を見てもらい、評価を得たならば「AGE AGE LIVE」に出演することができる。
その中で勝ち上がって初めてこのルミネtheよしもとに出ることができる。
しかし、そのルミネにしても本公演の出番がコンスタントにあるとは限らない遠くて長い道のりだ。
ましてやM-1グランプリに出られるようになるまでにはなまじの心構えで流行っていけない厳しい世界だ。
それに貧乏が覚悟の上でないとやっていけない世界。よく考えてから結論を出せと西村は竜馬を諭した。

その一部始終を見てきた虎之助は下調べもせずに甘い考えでやってきた竜馬のことを途中で挫折するだろうと考えていた。
しかし、竜馬は西村の言葉を全く意に介せぬ表情で「で、そのNSCってどこに行きゃ入れてもらえるんかな?」とさらに尋ねた。
貧乏は慣れていると笑う竜馬に西村はNSCのパンフレットを渡す。
竜馬は礼を言い、自分のことを覚えておいてくれと大見得を切る。
「お笑い界の革命児・・・土佐の竜馬じゃき、よろしくう!!」

ルミネを出た竜馬はパンフレットを見ながら申し込みに向かおうとしていた。しかし、場所がわからずうろたえてしまう。
まさに行き当たりばったりの竜馬を放っておけなくなった虎之助は竜馬に声をかける。
NSCの入学願書は郵送だ。願書に記入してからこの住所に置くって書類選考をうける。
それだけを伝えて立ち去ろうとする虎之助を竜馬が呼び止めた。
「おまん・・・何でワシがNSCに入りてーのを知っとるんじゃ?」

ルミネで見かけたという虎之助の言葉に竜馬は「ワシがあまりにも強烈な個性を放ってたもんで、知らんうちに目立ってしもてたんなー」とご満悦の様子だ。
誇大妄想的な竜馬の自信に引いてしまう虎之助。
そして竜馬はNSCに詳しい虎之助も漫才師志望だと聞いて自己紹介を始めようとする。
さっきロビーで聞いたとも言えず竜馬の自己紹介を聞く虎之助。
そして自分の名前を名乗った虎之助に竜馬はさらにテンションをあげる。

「二人合わせりゃ”竜虎”。どや虎ちゃんっ、ワシとコンビ組まへんか!!」

  • 6月
  • 23
  • 2007
23:10

第1話 旅立ち 邂逅

高知県高知市。「一人一殺」と刺繍された特効服を身にまとった暴走族の男たち。
その中に一人だけ「一人一笑」という刺繍の男がいた。彼の名は竜馬。
同じ頃、北海道札幌市。
「YOSAKOIソーラン祭り」のファイナルコンテスト会場。札幌西陵高校チームのリーダー、大島虎之助は見事な演出で観客の目を惹きつけていた。

秋。高校の屋上でエアギターを披露する竜馬。ダイノジ大地を彷彿とさせる体型と動きで周りを爆笑させていた。
たばこを吹かしながら彼らは卒業後の進路について話していた。
竜馬の家は母子家庭だった。しかし、このまま就職するのは竜馬の性に合わなかった。
なにかドカンと一発、花火を打ち上げるような生き方をしてみたい。
それならお笑い芸人だと周りの仲間に言われ、プロの芸人のことが少し気になりだした龍馬。

同じ頃、虎之助も教師と進路について話し合っていた。虎之助の父が経営する工場が倒産して進学どころではなくなってしまったのだ。
学業優秀で生徒会長までもつとめた虎之助。これまで誰よりも覚悟を持って集団の中で頭を張り続けてきた彼は親の持っている金で人生が決まってしまうことに反発を覚えていた。

そしてその年の12月28日。テレビでは漫才の頂上決戦「M-1グランプリ」が放映されていた。
プロの話芸に笑い転げる竜馬。スターになれば金ももらえるし女にももてる。
何よりも自分がおもしろいってことが全国の人間に認められる。
竜馬はプロの芸人になることを心に決める。

虎之助も同じ番組を見ていた。審査員である島田紳助のコメントを聞いた虎之助は彼の話芸に感心する。学歴もコネもなく、ただ自分の才能だけでのし上がってきた彼は、だからこそどの芸人よりも長けていて人とのつながりすらも芸の幅にしている。
虎之助は島田紳助のような人間になりたいと強く思っていた。

翌年一月。二人は仲間や家族に見送られて東京に旅立った。四国と北海道。二人は未だお互いのことを全く知らない。

  • 6月
  • 23
  • 2007
23:07

「んなあほな」コミックヨシモト連載。
毎月第1、第3火曜日発売。
原作:倉科遼 作画:ナカタニD.

お笑いの世界を目指す二人の青年の物語。