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  • 8月
  • 6
  • 2007
18:28

【女帝】第1巻

カテゴリ :倉科遼を読む- 単行本あらすじ - 女帝

1997/5/1発行。芳文社。

日本文芸社からもコミック文庫(芳文社と同じもの)と愛蔵版が出ています。

権力を持つ男に翻弄された人生を打ち破るべく女帝を目指して大阪に行く彩香。
初めての店「麻里子」で人生を左右する男性、伊達直人に出会うまでを描く。

ドラマ版では第1話にあたる。

第1話 火の国の女

高校の美術室に同級生の立花彩香を呼びに来た杉野謙一は彩香が石膏のダビデ像にキスをしているところを目撃して驚いてしまう。
それに気づかない彩香は下半身に舌をすべらす。石膏像のペニスを咥える彩香。
気づかなかったふりをして話しかける謙一。二人は生徒会室へ向かった。

同じく生徒会役員の北條梨奈は彩香を快く思っていなかった。
貧しい家に育ったくせに成績優秀で謙一と良い仲になっている彩香を。
今日も学校の帰り道、進路について語っているときに彩香の家のことをバカにする梨奈。
しかし彩香は気にも止めていなかった。

熊本城のそば。謙一は彩香に今日の美術室での出来事を見ていたと話す。
興味があったからだけだと話す彩香にそれなら本物を試してみないかと持ちかける謙一。
茂みに隠れてペッティングに興じる二人。

北條家では、梨奈の父である北條照盛と謙一の父である杉野謙造がこれからのことについて話し合っていた。
地元の有力者であり県議でもある杉野は国会議員である北條の力を借りて息子を代議士にさせたいと考えていた。
北條は謙一を梨奈を結婚させて地盤をそのまま継がせるのはどうかと提案する。
婚約の話を梨奈に伝える北條。梨奈は謙一が自分のものになったと確信する。

彩香の自宅は母の麻里子が「火の国」というスナックをやっていた。
店を閉め、部屋に倒れ込んできた母に水を渡す彩香。
「いくらお金欲しいからって客に肉体売るようなことはしないでよ」と娘に言われた麻里子は顔を上げ、
「あんた、あたしが本当に客と寝てるとでも思ってるの!こんな仕事してるけどあたしは一度たりとも客と寝たことなんか無いよ!」
彩香を大学にやりたい。いい大学出てきちんとした仕事について、結婚していい家庭を作って欲しい。
それが願いだといいながら眠りにつく麻里子を彩香はずっと見つめていた。


第2話 初恋敵

9月1日。二学期最初の日。
梨奈は友人に「いいことがあった」とうれしそうに話していた。ところが謙一と彩香が並んで登校しているのを見た梨奈は怒りに震え、昼休みに彩香を呼び出した。
謙一に近づくなと彩香に迫る梨奈。梨奈は生活が苦しい彩香が謙一をたぶらかして玉の輿に乗ろうとしていると言った。
さらに、自分たちは親同士が決めた許嫁。私の家は名家、彼の家は財閥。あなたの家のようにお金のない家とは違うと言い残して去っていった。
自分のことだけではなく、母のスナックが流行らなくて苦しいとさげすんだことに怒った彩香は梨奈から謙一を奪おうと考える。
体育館の倉庫に謙一を呼び出した彩香は「抱かせてあげる」と言いながら謙一の唇を奪う。
たまらずに彩香を押し倒す謙一。しかし、彩香の下着に謙一の指が触れた瞬間、母の言葉が頭をよぎった。
「金も地位もないけど誇りだけは無くしたことはないんだっ」
あわてて謙一を突き放す彩香。やはりそれはしてはならないことだった。

怒りの収まらない梨奈はお金と権力で自分の力を思い知らせてやろうと考える。
梨奈はその足で不良のたまり場である喫茶店に向かった。
小遣いが欲しければ彩香を強姦しろ。そう言われた男達はファミレスから帰る彩香を公園で襲おうとする。


第3話 陰謀

不良達に襲われた彩香だが偶然通りかかった麻里子が彩香の悲鳴を聞きつけてなんとか男達を撃退する。
店に帰り、「胸もそんなにデッカクなったし、もう立派な女なんだからこれからは気をつけんだよ」と忠告する麻里子。
「できれば初めては好きな男とするんだよ。女の一生の思い出になるからね。」
そこへやくざ風の男達が入ってきた。彼らは地上げ屋だった。

北條家では今日も杉野と北條の話し合いが行われていた。
現在杉野建設が手がけている飲み屋街の再開発。これこそまさしくスナック「火の鳥」に向けられた地上げの正体だったのだ。
立花母子を疎ましく思い彩香をアバズレだという謙造。そして学校の理事長である北條の力で彩香を退学させれば店をたたむのではないかと話す。
それを聞いた梨奈はある陰謀を実行させることにする。

生徒会役員会で梨奈は一通の手紙を取り出した。
手紙を読み上げ、本校の生徒がスナックで働き、酒を飲み客と卑猥な行為をしていると告発する。
話を止めさせようとする謙一を遮って彩香がそれは自分のことだと言い出す。
店の手伝いをしてビールを飲んだのは事実だが、客と卑猥な行為などはしていないと投書の内容を否定する。
しかし梨奈は「どうかしら?あなたのお母さんの店ってカラダ売って成り立ってるって噂よ!」とさらに彩香を責め立てる。
母のことを侮辱された彩香は立ち上がり、梨奈に平手打ちをかまして教室を出てしまう。

「火の国」には今日も地上げ屋が来ていた。
男達はカウンターに札束をおいて「娘を大学にやりたいなら判を押せ」と言って店を出ようとする。
麻里子は札束を掴み、男達に投げつけて「なんぼ苦しくとも金に尻尾は振らないよ!」と男達を追い出す。
激しく息をする麻里子。とつぜん、胸が苦しくなり麻里子は倒れてしまう。


第4話 母の夢

救急車で病院に運ばれた麻里子。母の看病のため、彩香は学校を休むことにする。
彩香が休んでいることを知った謙一はそのことを梨奈に告げて昨日の梨奈の行為を非難する。
親同士がどういおうとキミと結婚する気はない。そういわれた梨奈はなにがなんでも謙一を立花彩香に渡すものかと嫉妬の炎を燃やす。

彩香から母が入院したことを聞かされた杉野は花を持って見舞いに行く。謙一は麻里子の心労の原因が杉野建設の地上げだと言うことを知らなかった。
精密検査の結果が出た。麻里子は肝硬変とガンに冒されていた。
学校を辞めて店をやると言い出す彩香。それを聞いた麻里子は起きあがり、お願いだから大学に行って欲しい。それが私の夢だと彩香に頼む。
わかったと返事をした彩香。外に出て人知れず涙を流す。
ああ言うしかなかった。母さんもう助からないから。心配かけたまま逝かせるわけにはいかないから・・・

学校に退学届けを出した彩香。これで謙一は自分のものだと笑う梨奈。
謙一はそんな彩香に会うために美術室へ飛び込んできた。
スナックで働くと聞いた謙一は突然彩香を抱きしめ床に押し倒す。
「店の仕事したらキミは他の男とするんだろ!?スナックってそういう世界なんだろ!!だったらその前に僕として欲しいんだ。綺麗な思い出を作って欲しいんだ!!」
謙一までもが水商売をそういう目で見ていたことに嫌悪感を感じて突き飛ばす彩香。しかし謙一はなおも彩香に襲いかかろうとする。
暴れる彩香。その拍子で石膏像が倒れて大きな音を立ててしまう。
それを聞きつけた宿直の先生が美術室の扉を開ける。


第5話 侮辱

教師に見つかった謙一は突然「僕じゃない!彼女が僕を誘惑したんです!」と言い訳してしまう。
二人は校長室へ連れて行かれ、報告を受けた杉野謙造も学校に向かった。
謙造は彩香の顔を見るや「だから流行らない水商売の家の娘とは付き合うなと言ったんだ。父親が誰かもわからんような性悪女とはな」と謙一を責めた。
「どうせ金目当てだろ!謙一を誘ってスキャンダル種にしようとしたんだろ!こいつの家は母親が倒れて生活も苦しいようだからな!」
そうまくし立てる謙造。教師たちも彼には逆らえず、彩香が退学届けを出しているのをいいことにこの問題をもみ消そうとしている。
謙造は彩香の前に札束を積み上げ
「これで今日のことは生涯喋るな。もっとも女としてこんな話他人に喋ったら自分が淫乱なんだと思われるだけだがな!警察だってヤクザだって意のままに動かせることを忘れるなよ」
と高圧的な態度で彩香に命令する。

彩香は札束を掴みあげ謙造に投げつけた。
「金で何でも意のままになると思うなよ!いくら貧乏しても心までは売らんわ!」
絶望して学校を走り去る彩香。

病院に着くと麻里子の様態が急変していた。麻里子は彩香に今まで隠していたが父は生きていると告げる。
タンスの奥の小箱に手紙を入れておいた。真実が書いてあると言い残して麻里子はこの世を去った。
葬儀を終え、手紙を読んだ彩香は麻里子の墓の前で誓う。
「わたしはあいつ達を許さない、金と権力を使って弱いものを意のままに操ろうという男達を。そして母さんにわたしを孕ませて捨てた男も。」

熊本駅の前で待っていた杉野謙一を冷ややかに非難して電車に乗り込む彩香。
女という武器を使ってのしあがってやる。男の上に君臨する女帝になってやる。


第6話 ”野望”と”金”の街

大阪の十三にアパートを借りた彩香。母の残してくれた貯金もこれでなくなってしまった。
街に出た彩香はスナックのホステス募集の張り紙を見て回っていた。
ふと見つけた「麻里子」と言う名のスナック。母と同じ名のそのスナックに興味を覚えた彩香。
店の名はママの西崎麻里子の名前から取ったものだった。履歴書の文字を見て綺麗な文字だ、頭がいいねとほめるママ。
彩香はこの店で働くことになった。

その日来た客は新しく入った彩香に興味津々だった。
しかし、胸を触られ酒を飲むことを強要されてとまどう彩香。
さらにカラオケに誘われたが歌えないというと客に
「カラオケできんなんてプロ失格やで!」と厳しい言葉を受けてしまう。
自分はもうプロなんだ。そのことに気づいた彩香は慣れないながらも客とデュエットする。

フロアではママと別の客がダンスを踊っていた。ママの服の中に手を入れる客、それを上手にかわすママ。
プロになることを心に決めた彩香は客とのダンスも笑顔で応じた。カラダをエサにちらつかせ客をつなぎ止めた。
そんな彩香を見てママは彩香をこの店に入れたことは正解だと確信していた。

閉店後、彩香を食事に誘ったママは彩香にできるだけ長くいて欲しいという。
彩香はママの言葉を聞きながら母親のことを思っていた。


第7話 大阪の女

大阪に来て一ヶ月。この街にも慣れてきて少し大阪弁が混じってきた彩香。
カラオケの曲も開店前に練習してだいぶ覚えた。
ある日、客がいなくなった店でママは自分のこれまでのことを話しはじめた。
二十歳でホステスになったママだが貯めたお金は男に入れあげて消えてしまった。
三十路をすぎて先行き不安になった頃、店を出してやるという不動産会社の社長に安易な気持ちで世話になることにした。
しかし、社長は三年後に死亡。残りの借金は自分で払うことになった。
この世界で成功するもしないも男次第だとアドバイスするママ。
そしてママは先ほど来ていた男に抱かれるために帰って行った。

ある日、喫茶店でコーヒーを飲む彩香に若い男が声をかけてきた。
伊達直人と名乗るその男は彩香の名前と店の名前を聞いて近いうちに行くとだけ言って去っていった。
その夜、常連客のスーさんが悪酔いして彩香に絡み出した。いつになったらやらせてくれるのか。
無理強いするスーさんをママも止めようとするが、強引に彩香を連れ出そうとし始める。
ママを突き飛ばし、彩香も殴ろうと手を挙げるスーさん。
そこに入ってきた男がスーさんの手を掴み、顔面を殴った。

男は、伊達直人だった。


第8話 親子げんか

スーさんを追い出した直人はカウンターでビールを飲みながら彩香と会話を交わした。
ボトルを入れ、カラオケを歌って帰る直人。
彩香は直人に好感を抱いたがママは「ヤクザ者や」と冷たく言い放った。
あの男は間違いなく軟派系極道だ。彩香も気をつけろと忠告するママ。

そこに常連客の斉藤が入ってきた。正装した斉藤。手には引き出物を持っていた。
今日は斉藤の娘の結婚式だった。ママは娘が結婚して寂しがっている斉藤のために今日は店を閉めて一緒に飲むことにする。
家に帰った彩香は直人のことを考えていた。

それから直人は何度か店に顔を出した。いつも一時間ほど居てカラオケを歌って帰るだけ。
酒の飲み方で人がわかるというのなら、直人は良い人間だと彩香は思っていた。
その日はまだ直人は来ていなかった。他の客と話しながらも時計に目がいってしまう彩香。
そのことをママが注意していると直人が店に入ってきた。

今日もまた軽い話題で彩香を笑わせる直人。そしていつも通り十一時になるとタイムアウトだと行ってさっさと帰ってしまった。
それでもなお、直人はヤクザだというママ。彩香はヤクザとはどうしても思えないと反論する。
ママは彩香を娘のように思っていた。だからこそ、変な男に騙されていくのを黙ってみていられないのだ。
そこに入ってきた斉藤。彩香の様子がおかしいことに気づき何かあったのかとママに訪ねる。
「別に…ただの親子ゲンカや」

店を出た彩香。そこには直人が待っていた。


第9話 ナオト

ハンバーガー店で話をする直人と彩香。彩香は直人がどういう人間か聞いてみることにする。
直人は板前の仕事をしていると言った。昼夜の交代制だから変な時間にブラブラしているように見えるんだと。
彩香は正直にママが直人のことをヤクザと思っていると告げた。
直人は全く気にしていない様子で「俺と付き合って俺がどういう人間か見てくれ」と笑った。

その夜はカラオケ屋で朝まで歌った。
帰り道、直人は彩香が本当は二十歳じゃないのではないかと聞く。正直に十八だと答える彩香。
母が死んで大阪に出てきたという彩香に直人は自分も両親はおらずに天涯孤独だという。
「似とんな…俺たち」
ガードレールに座りキスを交わす彩香と直人。

家に帰った彩香は今日の直人の行動を振り返っていた。
ヤクザなら、肉体が目当てなら、回りくどいことはしないはず。今日もキスだけで胸を触ろうとも腰に手を回そうともしなかった。
やっぱり直人はヤクザではない。

ある日、直人が店に電話を入れてきた。明日デートしないかという誘いだった。
取り次いだママは彩香にそのことを問いただす。
そして斉藤に頼んで撮ってもらった写真を差し出した。
そこには暴力団室戸組から出てくるスーツ姿の直人の姿があった。


第10話 案の定

ママの言うとおり直人がヤクザだとしても、好きだという気持ちが心の中に芽生えてしまったのは事実だ。
彩香は昨日約束した場所で直人を待っていた。
迎えに来た直人は友達に借りたというポルシェに乗っていた。そして大阪の名所を次々に回っていった。
大阪城を見て、ミナミの街でたこ焼きを食べる二人。
宗右衛門町を歩いているときに二人連れの男が直人に挨拶をした。
直人は彼らを店の後輩だと言うが、胸のボタンを開けて髪を固めている姿はヤクザそのものだった。

その後通天閣を上って南港に来た二人。直人は彩香の肩を抱こうとするが、その瞬間彩香が立ち上がってご飯を食べようと言い出す。
直人の店で寿司が食べたいと言い出す彩香。休日まで店に行きたくないと言い訳して直人は彩香をフランス料理の店に連れて行った。
神戸のレストラン。従業員が「いつもの赤でよろしいでしょうか」と尋ねる。
一介の板前がこんな店に何度も行けるわけがない。直人の言動に少しずつほころびが見えだした。

デートは楽しかった。こんなに楽しかったのは生まれて初めてのことだ。ただ一つの事を除けば。

夜景を見ながらキスを交わす二人。しかし彩香は覆い被さってきた直人を拒絶した。
「何でダメなんや?」「それはあんたがヤクザやからや!!」


第11話 野望

正体が知れた直人はその本性を現した。彩香を殴りつけ服を破く。
自分は室戸組の人間だ。女をナンパしてソープやキャバクラに売り飛ばすのが仕事だと言って彩香に襲いかかる。
彩香は必死に抵抗しながら叫ぶ「直人を信じてたんや!直人のこと好きやから信じてたんや!」
男に惚れて尽くして自分の夢を捨てるのはイヤだと直人を拒絶する彩香。

「ウチは処女や!まだ誰にもこの肉体あげとらん、この肉体をあげる時は勝負するときや!女として一世一代の勝負するときに処女を捨てるんやっ!だから直人に抱かせるわけにはいかんのやぁっ!」

彩香の言葉に手を止める直人。権力者達に虐げられた自分たち母子。そんな男達に復讐するために女帝になる。
そこまで男を憎んでいてなぜ自分を好きになったのかと聞く直人。
彩香は自分でもわからない、気持ちが勝手に走っていってしまうと答える。
いくら独りで生きていくと言っても所詮十八、九の小娘。どっかで誰かに甘えたり支えてもらいたかったんだろうという直人。
突然、張りつめた糸が切れたように泣き出した彩香。直人の言うとおり、誰かに支えて欲しかったのだ。

実は直人も彩香に心が動いていた。スケコマシが仕事だというのに彩香に対しては柄にもなく心が騒いでいた。
直人は自分の夢、日本の首領(ドン)になるという野望を彩香に語る。
彩香は水の世界の女帝、直人はヤクザの世界の首領を目指す。
「お前のカラダは抱かんけど、心は抱いてやる。ずっとお前のこと、見守ってやる!」

彩香も直人を求めていた。本当は抱かれたかった。だけどここぞという時の武器にするために処女を守った。

そして翌朝。店ではママが彩香を待っていた。
彩香のことを心配してずっと店にいたのだ。二人が男と女の関係になったら彩香は戻ってこない。そう思うと居ても立ってもいられなかったのだ。

直人とはなにもなかったと聞かされて泣き出すママ。ママは若い頃に赤ちゃんを堕胎したことがあって、生きてれば同じ年ぐらいの彩香を娘のように思っていたのだ。
麻里子ママの思いに心を打たれた彩香。大阪にも母ができた瞬間だった。

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