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  • 7月
  • 7
  • 2007
17:00

第37話 新宿二丁目

その日は武の30回目の誕生日だった。
店は武の客で満席になり、全てのホストが武のヘルプとして飛び回っていた。
朱美も店に来ていた。二人は交際を始めたが、武は朱美の子供のことを考えて、子供が成人するまで一緒になるのは待つことにしていた。

そこに一人の男が入ってきた。
男性が一人でホストクラブに来るのは珍しいことだ。しかし武は、他のお客と同じように話を進めることにする。
男の名前はミノルと言った。ミノルは永井から武のことを聞いて知っていた。
会話を続ける武の姿をじっと見つめたミノルは、ボーイに武を指名にしてボトルを入れるように頼む。
自分の姿を見ても他の客と同じように接する武の姿にミノルは好感を覚えたのだ。

ミノルは新宿二丁目で「BARミノル」という飲み屋を営むゲイボーイだった。
そしてその街で「二丁目の顔役」と呼ばれる存在だったのだ。
武は指名のお礼をかねて朱美とともに「BARミノル」に行くことにした。

店の中では男同士がべたべたとくっつき合っていた。さすがの武もこれには驚いたが、ミノルの顔を見ると朱美のことを恋人だと紹介して席に着いた。
武はまず瓶ビールを何本か頼んで他の客に酌をして回った。
「この店のことも、この街のルールもわからないけど、たまに遊びに来ますんでよろしくお願いします。」
見ず知らずの人にも自ら進んでその懐に入ろうとする姿を見てミノルはさらに武を認める。

それから親睦を深めた二人。半年後には武が一人でミノルの元を尋ねることも多くなっていた。
その日ミノルは武になぜホストをやっているかと聞いた。借金を返し終わった現在、何のために働くのか。
言葉を濁す武だが、ミノルには武の考えがわかっていた。
「武ちゃん、アンタ独立しなさい!」

武に決断の時が迫る。

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