- 4月
- 30
- 2007
16:53
第205話 最後の客
誕生日対決は遼介の圧勝で終わろうとしていた。客の質の差がここに来て現れてきたのだ。
ラスト20分を切ったとき、ロミオに一人の女性が現れた。
それは石川耕三を探していた老婆だった。どうしてもこの目で確かめたいという彼女は翼を指名して席に着く。
どこから来たのかという源太の問いに彼女はぽつりぽつりと語り始める。
東北の田舎だから雪かきが大変なこと。その雪が積もった庭を何度も眺めること。それは孫から手紙が着たのではないか、郵便配達の人が足跡をつけているのではないかと待っていること。
そして50万円の入った袋を渡し、なにかお酒を飲ませて欲しいという。
翼はその金でゴールドを頼み「その注文、有り難く頂戴します」と言う。
ボトルの口もあけずに「仕事、がんばってください」と頭を下げて彼女は帰っていった。
老婆は遼介に「あの人は孫とは別人だ」といって店を出る。
彼女にはわかっていた。翼が耕三であることを。孫が選んだ生き方だからと涙を流す彼女を心臓の痛みが襲う。
そのとき、一台の車が倒れた彼女に向かって走ってきた・・・
