- 4月
- 10
- 2007
19:05
第26話 灯が燃える
ホストになって三ヶ月。武は少しずつ指名を獲得していった。
たまに指名が重なるときもあり、そんなときは先輩ホストの譲二にお願いしていた。
それでも武の売り上げは智也には遠く及ばなかった。しかし、智也派のホストですら「相沢は力をつけている。ひょっとするとひょっとするかもしれない」と噂するようになっていた。
武の武器は「話術」だった。背も低く、容姿もさほどよくない武は、話術で女性を盛り上げて気をひきつけていたのだ。
その甲斐あって客の中には高い酒を入れる人も出てきた。
ある日指名がかぶってしまった武。いつもお願いしている譲二はすでにほかの席についてもらっている。
武はナンバーワンホスト直樹の派閥のホスト二人に助けてくれるようにお願いする。
今回だけでいいからと頭を下げる武。普通はヘルプにつくほうが頭を下げるものなのに。
結局二人はヘルプにつくことにする。武は自分の指名料から二人のバックが出るように店に頼むことにした。
客席につけないつらさは自分も身をもって知っていた。だからこそ身銭を切って彼らに報いようとしたのだ。
閉店後、譲二とさっきの二人に礼を言う武。お礼に食事をおごると言う武を智也が呼び止めた。
「ほかの派閥の人間をヘルプにつけるとはどういうことだ。派閥を作っている人間に対する侮辱か!」
そう問い詰める智也。そこに当の直樹が入ってきた。
ここは俺の顔を立てて収めて欲しいと言う直樹に言い返すこともできずに去っていく智也。
直哉は武が力をつけてきた今、智也との衝突は避けられないことを感じ取っていた。
