華なりと 2007/5/9号
第5話 仕込みさん
ついに祇園にやってきた琴美。琴の家の玄関に立った琴美にひとりの女性が話しかけてきた。
彼女は同じ仕込の恵と名乗った。恵は玄関はお客様が使うところだからといって裏口から琴美をあげ、部屋に案内した。狭い部屋に二段ベッド。この部屋に琴美と恵、そしてもう一人優子という子の三人で生活することになる。
恵はまず、玄関の掃除を言いつける。
「祇園で箒は邪気を祓う神聖な道具。掃き方を考えて。」
そういわれた琴美は家から邪気を追い出すように思いっきりごみを外に掃きだしていった。
そこに帰ってきたおかあさん。鬼の形相で琴美を部屋に連れ込んだ。
なにを怒られているのかわからない琴美におかあさんは説明する。
「しきたりはいわば祇園の心。たとえば箒の掃き方にしても通行人にごみがかからないように埃を立てないように気をつけて内側に掃かなくてはならない。まずは、人様のことを考えるのが第一。そして『家にお客様を招き入れて縁起がええどすなあ』と考える」
納得した琴美だが、おかあさんは罰は罰だと三時間の正座を言い付ける。きちんと面倒を見なかった恵も一緒に正座させられることに。
なれない正座に苦しむ琴美。しかしふと、この正座にも意味があるのではないかと考える。
三時間後、正座から開放された琴美は「これはおかあさんの心だったんですね」と言って彼女を驚かせる。
それからおかあさんは琴美を八坂女紅場学園に連れて行った。学校の中では同じくらいの年の少女たちが見事な踊りを見せていた。
しかし、彼女たちもまだ仕込みの段階で、おかあさんに言わせるとまだ舞とは言えないものなのだそうだ。
お師匠さんにきつく叱られる生徒を見て琴美は自分の甘さに気づき、不安を覚えるのであった。
